アンコンシャス・バイアスとは「無意識のうちに物事に偏見を持って接してしまう」という意味です。聞きなれない言葉ではありますが、実は日常生活のなかでも多く見かけることができる考え方の一つです。
たとえば、近年ではグローバル化の進歩に伴い、海外の文化が積極的に取り入れられていく流れがあります。その中で、日本独自の「仕事にはつらさが伴いものである」「好きな仕事ができている人は一握りで、ずっと利益が出るとはかぎらない」「周りのいけと自分の意見が食い違ってしまうと、空気が読めない人とされてしまう」といったような価値観が、日本人全てに当てはまるという考え方を持つこと自体が、「アンコンシャス・バイアス」とも言えるのです。
年代による考え方の違いにも、この「アンコンシャス・バイアス」は見られ、年配の方によくみられる「定時を超えて残業するのは当たり前」といった考え方や「もっと野心があってガツガツした若い人は最近はいないのか」といったような批判なども、「アンコンシャス・バイアス」の典型例と言ってよいでしょう。
つまり、国民性や年代などの様々な要因で生み出される固定概念が、「アンコンシャス・バイアス」につながっているわけです。
アンコンシャス・バイアスにこだわった考え方をしていると、自分の視野を狭めてしまい、新しいものを受け入れていくことができるキャパシティを狭めることにもつながってしまいます。もちろん、自分の信念を曲げずに目的に向かっていくことができるといったような意味で、その視野狭窄がよく働くこともあるので、一概に悪い効果が出てしまうというわけではないのですが、やはり何か一つの物事を一つの方向からしか見られないのでは、やはり成長することは難しくなってしまうでしょう。
アンコンシャス・バイアスを取り払うためには、まず自分自身がそういった固定概念を持っているということを自覚しなくてはいけません。
先天的にそういう固定概念を持っている場合もありますが、経験からそういった考え方を持ってしまうといった場合もあります。そのいずれであっても、アンコンシャス・バイアスを取り払うには、物事を何か一つの方向からだけ考えるのではなく、普段考えないような方向から考えるというような姿勢が必要になります。そのためには、物事を様々な角度から見ることができるような能力を養わなくてはなりません。
そして、もう一つ大事なことが、自分の意見は絶対に正しいのであるといったような思い込みもなくしていくべきだということです。さらに、少しでも違う自分になってみたい、こういうところを直したい、とい気持ちを持つことも、アンコンシャス・バイアスを解消するには有効でしょう。