コア・コンピタンスとは、直訳すると「核となる能力や得意分野」という意味になります。
コア・コンピタンスは、企業戦略を策定するときなどに使われることが多く、その企業で蓄積された事業関係の独特のノウハウとか、製品開発力、技術力、生産方法、場合によると特許などもその対象であり、その企業が持っていて他社の追従を許さない経営資源を中心に展開する経営は「コア・コンピタンス経営」と呼ばれています。
コア・コンピタンス経営という考え方は、アメリカで生まれたものです。
90年代のマイケル・ポーターの成長戦略、ダウンサイジング、リストラクチャリング、リエンジニアリングなど様々な戦略が展開されてきましたが、90年代半ばから景気回復期に入ったこともあって、新たな成長戦略が求められ、そこにロンドン・ビジネス・スクールのゲリー・ハメル教授とミシガン大学のC・K・プラハード教授が著した『コア・コンピタンス経営』が登場し、一躍脚光を浴びたという経緯があります。
コア・コンピタンス経営で、最も大事なことは、そのコアなるものが、本当に競争優位性があり、他者の追従を許さないものであるかどうかにかかっており、単なるアイディアとか、他社よりも先行して商品化したとか、市場シェアが現在一位であるといった程度にとどまらないということが鍵になっています。
差別化戦略というような言葉もありますが、他社がすぐ真似をできるとか、二番手戦略で美味しいところを持っていくとかであっては、本当のコア・コンピタンス経営にはならないということになります。
そして、コア・コンピタンス経営において、同時に意識しなければならないことは、市場に受け入れらるのものであるか、あるいは新しい市場を開拓できるものであるか、ということも重要になります。
顧客の求めているところをきちんと把握して、そこに向かっての自社のコア・コンピタンスをどう展開するかであり、今自社が持っているものに加えて、新たに加えなければならないもの、あるいは磨きを掛けなければならないものを認識し、進めていくということになります。
その意味では、企業戦略の方法論としては、従来のものと何ら変わりないと言え、全体状況、競合関係、自社の強み弱み、将来方向などを総合的に分析し、資源をどこに投入するかなどを立案するわけですが、コア・コンピタンス経営は、自社の核となる能力や技術、あるいは得意分野ということに、よりウエイトを置いた経営戦略ということができるでしょう。