現代社会において、新しい生き方の道筋となるパラレルキャリアという考えをご存知でしょうか?
パラレルという言葉を直訳すると、平行である事や並列という意味であり、キャリアを直訳すると、技能上の経験や経歴という意味であり、両者を合わせて考えた時に意味するものは、2つのストーリーが並行して展開する事となります。
つまりパラレルキャリアとは、本業となる仕事以外にも人生の目的をもって取り組むものがある事であるといえるでしょう。それは副業のように収入を目的としたものではなく、複数の肩書や複数の専門性を持ち、第2の自分の価値ある世界を築く事でもあるのです。
昔のように仕事に生きる、仕事がすべてという考えは随分と陰りを見せており、仕事は仕事でありそれとは別のところにも自分の居場所をおきたい、と考える人が増えたという事を意味しているのです。
このようにパラレルキャリアを持つ人が増えた事の背景として、少なからず現代のような職業への不安定感が影響しているといえるでしょう。
わが国では好景気のバブルの時代があり、その後にはこれまでとは真逆のバブル崩壊の時代があり、やがては就職氷河期・就職難と呼ばれる職業不安の時代が長く続きました。
幾分景気の回復傾向は見えたものの、大手と呼ばれる企業が一瞬にして倒産してしまったり、一流企業に勤めて会社を背負って働いてきた人が、突然のリストラにあって職を失ってしまったりと、本当に何が起こるかわからない、先の見えない不安が常につきまとっているのです。
この様な時代において仕事だけに重点を置いていると、こうした事態が起きた時に人としての行き場まで失ってしまう、そうならない為に見いだされたものこそがパラレルキャリアの存在価値であるといえるでしょう。
パラレルキャリアと言っても、あくまで本業は本業としての価値があり、それについては変わりがありません。しかし、自分が生きる大切なもう一つの社会が並行するように存在するという事は、自分が常に前向きに明るく、活き活きと生きていく大きな意味を持っているのです。
そういった観点では、パラレルキャリアを持つ事は、高齢化社会となった今の時代には非常にマッチしているといえます。
これまで現役で仕事をバリバリこなしていた方が、退職後に一気にやる気を見失ってしまったり、何をしていいのかわからず、老後の生き甲斐が見つけられなかったりするというような事は、割とよくある事です。
しかしパラレルキャリアとして、本業以外の道を築いてきた人にとっては、老後にもまた継続して価値ある生き方を続けていく事が出来、長い高齢化社会を有意義に過ごす事が出来るのです。
これからの時代を見据えると、企業側も積極的にパラレルキャリアを支援するようにしていくべきなのかもしれません。