先日、ヤフーが運営するオークションサイト「ヤフオク」の手数料(落札システム利用料)改変の発表がありました。早速、クライアント様より相談が入ってきたこともあり、今回はヤフオクの手数料改変の話題から感じることを書いてみることにします。
ヤフオクは非常に知名度の高いオークションサイトですが、最近は個人間の取引というよりも、ショップが自社商品をネットショップ的にオークションに出してさばくツールの一つになってきているように感じます。また、業者や個人事業主が一般消費者のニーズに合わせてネットやリアルで商品を仕入れ、オークションを通じて転売して利益を得る「せどり」という商売も増えてきました。
ちなみに、今回ヤフーから発表されたヤフオクの落札システム利用料の改変は、Yahoo!かんたん決済で決済された場合、従来は落札者・出品者共に負担していた手数料(落札者は決済手数料、出品者は落札システム利用料として負担)を、出品者の落札システム利用料を 5.40% → 8.64% へ値上げ する代わりに、落札者の決済手数料は無料 にするものです。
消費税分を除けば 5% → 8% へ 3%分の値上げ(手数料単体では60%の値上げ)になる訳ですから、自店舗などリアルで商品を仕入れたり、ヤフオク以外から仕入れてヤフオクで大量に売りさばくビジネスモデルだった事業者には経営的にかなり大きなインパクトを与える可能性があります。実際、利幅がほとんどなく転売が成り立たない業種や商材も出てくるでしょう。
ただ、ヤフオクの今回のルール変更は、落札者という裾野を広げることは非常に重要なことで、ヤフー自体の経営の視点で考えると当然のことかもしれません。そして、出品側の企業は怨嗟の声を挙げるのではなく、ヤフオクなどの“既存プラットフォーム”に依存しない経営をしていくことが必要です。
“既存プラットフォーム”はヤフオクだけではありません。物販で言えば、楽天市場やアフィリエイトも“既存プラットフォーム”ですし、広告で言えば、リスティング広告(PPC広告)やディスプレイ広告(バナー広告)などもいつ掲載ルールの変更によって配信できなくなるかわからないといった点では“既存プラットフォーム”になりえます。
“既存プラットフォーム”の上に乗っかって稼ぐことを否定する気はありませんが、ヤフオクの事例を見てもわかる通り“既存プラットホーム”の改変によって一瞬にしてビジネスモデルが崩壊する可能性を秘めています。経営者としては“既存プラットフォーム”だけに偏重せず、自社独自のツールや販路を育てる努力を常にしていくべきだと思います。