勝兵は鎰を以て銖を称るがごとく
「孫子」は、二千数百年前の弱肉強食の時代に生きた孫武が書いた兵法書です。
その中から、今回は孫子にある「勝兵は鎰を以て銖を称るがごとく、敗兵は銖を以て鎰を称るがごとし」という言葉を見てみることにしましょう。
兵法は、一に曰わく度、ニに曰わく量、三に曰わく数、四に曰わく称、五に曰わく勝。
地は度を生じ、度は量を生じ、量は数を生じ、数は称を生じ、称は勝を生ず。
故に勝兵は鎰を以て銖を称るがごとく、敗兵は銖を以て鎰を称るがごとし。勝者の民を戦わしむるや、積水を千仞(せんじん)の谷に決するが若きは、形なり。
が「善く戦う者は、勝ち易きに勝つ者なり」のくだりですが、現代語訳にすると、
兵法とは、第一に戦う国土の広さ、第二に投入する物資の量、第三には動員する兵力、第四に戦力の比較、第五に勝敗を考えること、である。国土の広さや距離を考えた結果によって投入すべき物資の量を考え、投入すべき物資の量によって動員すべき兵数を決め、動員すべき兵力によって敵味方の能力を比べ、戦力比較によって勝敗を決める。故に、勝利する軍は重い重りをもって軽い重りと比べるようなもので、敗れる軍は軽い重りをもって重い重りと比べるようなものだ。
勝利する者の戦い方は、ちょうど満々とたたえた水を千尋の谷に一気に落とすように、相手に守る隙を与えない。それが戦う態勢を整えるということだ。
勝利する者の戦い方は、ちょうど満々とたたえた水を千尋の谷に一気に落とすように、相手に守る隙を与えない。それが戦う態勢を整えるということだ。
という意味になります。
この内容を現代のビジネスに例えると、新たな事業戦略を考える際の流れに似ています。
- まず、マーケットの大きさを考え、
- 参入に必要なコストを算出し、
- 投入する人員を決め、
- 勝負になるかを検討する。
そして、勝てる見込みがあるのであれば、競合相手に対応する隙を与えないよう一気に実行に移す、ということになります。
この流れをスピード感を持って進めていくことで、中小企業にも勝機が出てくるのではないでしょうか。