「辞世の句」とは、人が死の間際に詠む漢詩・和歌・俳句などのことです。自分の人生を振り返り、この世に最後に残す言葉として、様々な教訓を私たちに与えてくれるといって良いでしょう。
古来より数えきれない辞世の句が残されてきましたが、今回は、北条時頼の最後の言葉として、北条時頼の辞世の句を紹介してみることにします。
北条時頼の最後
北条時頼は、鎌倉幕府の5代目の執権で、北条氏本家(得宗)の独裁体制を確立した人物として有名です。元寇を防いだ8代執権 北条時宗の父としても知られている北条時頼ですが、得宗専制体制を固めた後、1263年12月24日に病死しました。享年は36歳(数えで37歳)でした。
そんな北条時頼の辞世の句と言われているのが以下の句(漢詩)です。
北条時頼 辞世の句
「業鏡高く懸げ 三十七年 一槌にして打ち砕き 大道坦然たり」
この歌を現代文に訳すなら、
業を映し出す鏡を掲げて生きてきた37年であったが、今、その鏡を槌で打ちくだき、安らかな悟りの境地に達している。
といったところでしょうか。
死を前にした時、彼の頭の中を去来したのはなんだったのでしょう。この北条時頼の最後の言葉である辞世の句は、皆さんの心にどう響きましたか?