取引先が倒産するとどうなる?

経営豆知識

取引先が倒産するとどうなる?事業をしていると、取引先が倒産する事態に遭遇することがあります。当社でも過去一度、取引先の倒産に遭遇しました。ちなみに「倒産」とは公式な用語ではなく、正式には「破産」と言います。

もし取引先で倒産(破産)が起こった場合、ある日突然に裁判所からの手紙で知ることになります。倒産した取引先の会社の本社所在地を管轄する裁判所からの手紙ですので、自社のエリアとは全く違う裁判所(地方裁判所)からの手紙だったりするとびっくりするかもしれません。

封筒を開けると、いきなり「破産手続開始通知書」が入っていて、そこには、

  1. 破産手続きを開始した会社名と代表者名
  2. ◯月◯日に◯◯裁判所が取引先の破産手続きを開始した旨
  3. 破産管財人の弁護士名と連絡先
  4. 債権の届け出期間と届出書の提出先
  5. 財産状況の報告・意見聴取のための集会の開催日と開催場所

が書かれています。

そして、当該の会社に債権を持っている場合に使う「破産債権届出書」が同封され、破産債権届出書に記入して、エビデンスとなる請求書等を添付して管轄の裁判所に送付するようになっています。

当社の取引先が倒産した事例ですが、1月中旬に取引先の破産手続き開始が決定され、翌日には「破産手続開始通知書」が当社に到着しました。債権の届け出期間は1ヶ月後の2月中旬で設定され、さらに約2ヶ月後の4月中旬に「財産状況の報告・意見聴取のための集会」が開催されるといったスケジュールになっていました。

その後、現在まで破産手続き開始から10ヶ月が経過していますが、裁判所や破産管財人の連絡はなく、まだ破産手続きは継続しているようです。伝え聞くところによると、銀行口座を通さず取引を現金で決済していたため、お金の流れが不透明で時間が掛かっているようです。また、隠し財産があるとの噂もちらほら出ているようです。

今後については、破産管財人が債務者(倒産した会社)からお金を可能な限り回収し、その中から税金や未払い賃金等を差し引かれた金額が債権比率によって分配されることになります。一般的には債権の全額を回収できる例はほとんどなく、大体、債権額の数%しか回収できないようです。

そう頻繁に取引先が倒産するような事態にはなりませんが、頻度は稀でも金額によっては企業経営に大きなダメージを与えて、連鎖倒産の危険性もあります。企業体力に劣る中小企業としては、代金の支払いを前払い制にするなり、デポジットをあらかじめ取っておくなり、することでリスクに備えておきたいものです。

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本件については、決着が着いた(破産手続きが終了した)時点で、結果について記事にしてみたいと思います。