固定資産回転率とは
固定資産回転率とは、企業の経営分析の上で用いられる指標の一つで、計算式としては売上高を固定資産額で割って算出されます。
固定資産とは企業において、例えば会社の社屋や工場のような有形固定資産、特許の権利や賃貸借権などの無形固定資産、さらに融資などの長期にわたる貸付金や持っている株式、その他の有価証券などの投資等にかかわる資産が固定資産に含まれます。
総資産回転率という企業のすべての資産からどれだけの売り上げを得られたかを表す指標もあるのですが、企業において企業全体としての収益性を測る指標でどの資産が過剰なのか、などの細かな分析を行う点ではあまりよくわかりません。
一方、固定資産回転率は、固定資産に限って考慮し、今保有している企業の固定資産について、売上高からみて、その企業が持つ固定資産が本当に適切か、過剰なものや不要なものなどがないかを検討する上での指標になります。
固定資産回転率は、固定資産に投下された資本の運用効率を表すので、当然その値が高ければ高いほど、売上を上げるために有効にその会社の固定資産が用いられているということになります。逆にこの値が低ければ、固定資産に余分な投資をしてしまっていたり、いらない資産が保有されており、固定資産の有効な活用が行われていないという判断ができます。つまり、固定資産回転率は、有効に活用されていない資産の売却などで資産の整理を行い、より健全な企業会計と企業運営のため方策を考えるための材料となるわけです。
特に、固定資産は、投資を回収する期間が流動資産と比較するとかなり長期になることが多く、その固定資産に対する判断が難しいのと同時に、その評価にも隙ができてしまいがちです。そして、その隙が不良債権を生む源泉となってしまうため、この固定資産回転率のような指標は、企業の資産の有効活用や企業会計の継続性の上でも重要な事項になってきます。
製造業やサービス業、農業、林業や漁業などさまざまな企業がありますが、その業種によって保持している固定資産は違いますので、この固定資産回転率は業種によってもその標準的な値は変わってきます。
一般的に、固定資産回転率は、商業では高く、大きな設備投資を必要とするような製造業などはその値が低い傾向にあります。その企業の固定資産回転率がその業界でよい値なのか悪い値なのかの比較に関しては、異業種ではなく同業他社の同じ指標やその会社の過去の固定資産回転率の変化を見て評価することが望ましいと言えるでしょう。