国家戦略特区とは
国家戦略特区とは、日本経済再生本部からの提案で、第2次安倍内閣が成長戦略の柱の一つとして掲げた地域振興と国際競争力向上を目的に規定された経済特区のことを言います。
加計学園にまつわる一連の報道で有名になりましたが、国家戦略特区では、地域を絞って従来からある規制を大幅に緩めることで企業を誘致し、地域経済を活性化する狙いがあります。
今までは実質、地方が国にお願いをして国が許可をするという形をとってきましたが、国家戦略特区は内閣が主導的立場をとります。具体的には、国を代表した特区担当大臣、地方を代表した知事や市長、民間を代表した企業の社長などにより三者統合本部として小さな独立した政府のように運営されることから、従来型の特区とは異なる点が多い主体性を持った新しい形と言えるでしょう。
国家戦略特区の大きなメリットとして挙げられるのが、改革のしやすさです。国家戦略特区として既に認定を得ている東京圏では、改革方針が提示されています。その中でも特に注目を集めているのが、カジノ特区です。
日本では公営ギャンブル以外の賭け事は法律で禁じられています。法律を改正するためには法案を提出し、その法案が審議され、閣議決定を経なければなりません。実際に法律の改正が認められるためには、長い時間をかける必要があるのですが、国家戦略特区が設けられ、その中でカジノ特区を作るということであれば、法律を変えることなくカジノの設置が認められることになります。
地域を限定して行うことで、時間と手間を大幅に短縮することができるわけです。このスピード感は、国家戦略特区の大きな特徴の1つです。
また、財政面でも余裕を持ってプロジェクトを進めることができるので、国にも地方公共団体にもメリットがあります。国家戦略特区が活用されることで地域が活性化されると経済的にも成長が見込めます。そうなれば、特区及びその周辺に暮らす人たちにとっても、景気が良くなることにより恩恵を受けられるメリットもあります。
縦割り行政の弊害をなくし、スピード感を持った改革を行うために生まれた「国家戦略特区」ですが、族議員・省庁・関係団体などの抵抗勢力の干渉を排し、古くからある既得権益(いわゆる「岩盤規制」)に風穴を開けることができるかが成功のカギになりそうです。