小敵の堅は大敵の擒なり
「孫子」は、二千数百年前の弱肉強食の時代に生きた孫武が書いた兵法書です。
その中から、今回は孫子にある「小敵の堅は大敵の擒なり」という言葉を見てみることにしましょう。
用兵の法は、十なれば即ちこれを囲み、五なれば即ちこれを攻め、倍すれば即ちこれを分かち、敵すれば即ち能(よ)くこれと戦い、少なければ即ち能くこれを逃れ、若(し)かざれば即ち能くこれを避く。
故に小敵の堅(けん)は大敵の檎(きん)なり。
が「小敵の堅は大敵の擒なり」のくだりですが、現代語訳にすると、
用兵の原則は、こちらの軍勢が相手の十倍であれば敵軍を包囲し、五倍であれば敵軍を攻撃し、倍であれば敵軍を分裂させ、対等であれば勇戦し、相手より兵力が少なければ退却し、勝算が立たなければ敵軍との衝突を避けることだ。劣勢なのに戦いを挑んでいては、強大な敵の虜になるばかりである。
という意味になります。
戦わずして勝つのが一番ですが、戦わざるを得ない場合は有利に進めなければいけません。常に兵力的に優勢を保てるようにし、劣勢になる場合は衝突を避けるというのが、孫子の考え方です。
起業を目指している方の中には、本来勝算が立っていないのに、“取らぬ狸の皮算用”で都合よく“勝算”を立てている人をよく見かけます。見せかけの“勝算”で起業してもほとんど失敗してしまいます。
しっかりと勝算を立て、勝算が立たないようであれば、地力をつけながら時を待つことも必要です。