接続海域とは
ニュースなどで「接続海域」という言葉を見聞きすることが増えてきましたが、接続海域とはどのようなものでしょうか?今回は、この「接続海域」について見てみましょう。
陸地から見て「領海」や「接続水域」、「EEZ(排他的経済水域)」と海域毎に名前が異なっており、接続海域とは領海から外側の水域を指すものです。正確には、国連海洋法条約に基づくもので海岸から約22キロ(12海里)までが「領海」、そこから約44キロ(24海里)までが「接続海域」となります。ちなみに、EEZは接続水域の外側で約366キロ(200海里)までの水域を指しており、海上保安庁や水産庁がパトロール、取締りを行っているのもこの領海からEEZまでとなっています。
接続水域では原則どの国の船でも自由に航行することが認められていますが、他国の船が勝手に漁業を行うことはできません。領海同様無許可での漁業は規制対象となりますが、接続水域での規制範囲は国によって異なり船舶の検査や警告などの予防措置のみとしている国もあれば、拿捕や逮捕などの強制措置を行う国もあります。これは条約に定められている「処罰」が明確になっていないためです。
更に、接続水域内ではその国に対する侵害行為はどの国でも規制対象とはなっていません。無許可の漁業は規制できる一方で領土や領海を脅かす行為は規制できないのは矛盾していますが、これは「侵害行為」が何を指すのかが曖昧であることなどが理由とされています。
なお、国連海洋法条約(正式名称「海洋法に関する国際連合条約」)は「海の憲法」とも呼ばれています。それまでの海洋法を国際的に統一することを目的として1982年に採択されました。
海は陸地と異なり自国の領海がどこまであるのか明確にできなかった当時は各国の主張のみとなっていましたが、国際的な基準を設けることで海洋の環境保護や科学調査、技術開発などを統一した他、紛争解決も担っています。
国連海洋法条約が日本で適用となったのは1996年でしたが、他国より適用が遅れたのは周辺諸国とEEZが近く線引きが難航したことと、国内の法律を整備する必要があったためです。