「辞世の句」とは、人が死の間際に詠む漢詩・和歌・俳句などのことです。自分の人生を振り返り、この世に最後に残す言葉として、様々な教訓を私たちに与えてくれるといって良いでしょう。
古来より数えきれない辞世の句が残されてきましたが、今回は、源頼政の最後の言葉として、源頼政の辞世の句を紹介してみることにします。
源頼政の最後
源頼政は、平安時代末の武将であり歌人です。平治の乱で平清盛に味方して勝利した源頼政は、晩年、源氏の長老として異例の従三位に昇り、念願の公卿となりました。しかしその後、後白河法皇を排除した平清盛に反発し、以仁王とともに挙兵するも破れ、1180年6月20日に宇治の平等院で自害しました。享年は76歳前後だったようです。
そんな源頼政の辞世の句と言われているのが以下の句(短歌)です。
源頼政 辞世の句
「埋れ木の 花さく事も なかりしに 身のなるはてぞ 悲しかりける」
この歌を現代文に訳すなら、
埋れ木のように花咲くこともなく死んでいくのは、なんと悲しいことだろう
といったところでしょうか。
晩年、源頼政は官位への不満を漏らす歌を多く詠んでいます。最終的には従三位へ昇り公卿と呼ばれるようになったものの、源氏の長老としてより高い地位を得て脚光を浴びたいと思っていたのかもしれません。
死を前にした時、彼の頭の中を去来したのはなんだったのでしょう。この源頼政の最後の言葉である辞世の句は、皆さんの心にどう響きましたか?