“神の手”AKBゲームアプリの見込み違い
「神の手」という秋元康氏がプロデュースしたAKB48のゲームアプリ(運営:株式会社ブランジスタ)があります。
「神の手」とはどんなゲームかを簡単に説明すると、よくゲームセンターにクレーンゲームがありますが、「バーチャルなクレーンゲーム」で「獲得したアイテムは自宅に配送」してくれるスマホのゲームアプリになります。
秋元康氏のプロデュースらしく、AKB48総選挙時や紅白歌合戦時の空気を缶に詰めた「場空缶」がクレーンゲームの景品の目玉になっています。
空気を缶詰めにして景品にしても・・・私などは考えてしまいますが、株式会社ブランジスタを始めとした関係者は、ビジネスとしてかなりの勝算を持っていたようです。
手元にある資料によると、
- 実際にあるAKB48のゲームが480万ユーザー
- 課金率100%のゲームアプリ
であるから、
もし仮に200万ユーザーが「神の手」のユーザーとなり、もし仮にユーザーが1日2回ゲームに課金すると、1ユーザーあたり月5000円の収益があり、月間売上が100億円、年間売上が1200億円になる!
と皮算用を立てていました。
で、2017年2月9日に「神の手」発売以来初めての決算短信(第1四半期)が株式会社ブランジスタより公開されました。
報道によると、「神の手」を展開するブランジスタゲームの第1四半期の実績は
売上高:6000万円
営業損益:▲4500万円
となっていました。予定では月100億円の売上を見込んでいたことを考えると、現時点で平均月2000万円の売上ですから、壮大な見込み違いをしていたと言っていいでしょう。
ブランジスタ側は「神の手は先行投資の段階であり、大規模なプロモーションを実施し、利用者数の増加と将来の収益拡大を目指す」としていますが、AKB48の人気もピークを超えている現在、大規模なプロモーションを行っても、営業赤字が膨らんで既存事業を圧迫するだけだと思われます。
今後、事業的に大きく好転するとは思えない「神の手」ですが、安易に「200万ユーザーを獲得できる」「100%課金モデルが成り立つ」と事業化していった消費者マーケティングの甘さがあるように思います。
確かにAKBはキラーコンテンツかもしれませんが、「神の手」は、消費者を見ず、キラーコンテンツを単純に事業化しても成功はしないという好例になるのかもしれません。