研修期間中の退職退社で裁判に〜ヘッドスパサロンの事案

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研修期間中の退職退社で裁判に〜ヘッドスパサロンの事案先日、あるヘッドスパサロンの社長が元社員に対して、損害賠償請求で裁判を起こしたというニュースを目にしました。

何か社員側に不法行為があったのかと思ったら、研修期間中に退職退社する事案が発生し、会社が社員退職退社で生じた損害に対して賠償金を請求し裁判に訴えた、という内容でした。

このヘッドスパサロンでは新入社員を10名採用したそうですが、研修期間中、初日に3名が退職し、その後1名、さらに4名が退職(都合、8名)が退社したようです。ヘッドスパサロンですから、研修期間といってもそう長くはない期間に80%の退職率という状況は、経営者であれば怒りたくもなるでしょう。でも、落ち着いて考えれば、10日前後で新入社員が大量退職する状況は、少なくとも研修内容にも問題があったと考えられるわけで、腹に据えかねたとしても、一方的に損害賠償請求で裁判をするのは理解に苦しみます。

このヘッドスパサロンの元新入社員たちにも非があったのかもしれませんが、一方的に勤務日数分の給与を振り込まれた後に合計で160万円を請求された元新入社員たちと、連帯保証人として同様に請求された親には同情を禁じ得ません。

ヘッドスパサロンの元新入社員たちは退職時の会話を録音していたとのことですので、ヘッドスパサロン側、元新入社員側のどちらに非があるのか、裁判の場で明らかになるでしょう。

従業員と争いになった場合、経営者側も従業員側もすぐに裁判に訴えるケースが増えてきましたが、当たり前のことですが、話し合いを重ねた上で、最後の手段が裁判であるべきです。

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今回は、ヘッドスパサロンの経営者側が裁判に訴えたがために、全国ニュースに取り上げられ、企業イメージが低下したばかりか、ヘッドスパサロンが美容に当たるのか?施術にあたる予定だった元新入社員たちが美容師資格を有していたのか?など、グレーな部分が表に出てくるおそれもあります。

一旦退職退社した社員は基本的に戻ってきません。去ってしまった以上は去った前提で新たな経営を考えていくしかありません。一時の怒りに任せて訴訟を起こすのは、経営者としては下策のような気がします。

 

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