自閉症スペクトラムとは
自閉症スペクトラムとは、対人関係が苦手、空気が読めない、自分の関心のあるものをとことん突き詰める、などの本能的思考が強いことを特徴とする発達障害の一種です。
自閉症スペクトラムと言っても、少し変わっているねと言われる程度で済んで問題なく日常生活を送れることもあります。しかし、不適切な環境に置かれてしまうと、日常生活に様々な弊害が出現します。
今は大人の自閉症スペクトラムにも注目が集まっており、対人関係や仕事に対して問題が起こり、自分を責めてしまうことでうつになってしまう人もいます。
自閉症スペクトラムという言葉が生まれた背景には、広汎性発達障害の分類体系が一貫せず、診断基準が曖昧になっていたという事実があります。知的障害の伴う古典的自閉症や知的・言語障害のないアスペルガー症候群、高機能自閉症などです。
自閉症スペクトラム指数とは
その流れの中、社会的コミュニケーション障害の連続体(スペクトラム)上に自閉症とアスペルガー症候群があり、アスペルガー症候群が自閉症と健常者の中間にいるとした仮説が脚光を浴びました。
自閉症は知的障害を伴うことが多いので、その症状が自閉症によるものなのか、知的障害によるものか詳細に把握できなかったのです。しかし、この仮説により、自閉性障害の診断をカテゴリーに分けるだけでなく、量的診断へと転換することに繋がっていったのです。
自閉症スペクトラムという概念は、純粋な自閉性障害自体の程度の指標という意味を持っており、この程度を測る方法として自閉症スペクトラム指数(Autism-Spectrum Quotient : AQ)という尺度が開発されました。
自閉症スペクトラム指数は自閉性障害にあてはまるかどうかという診断に使用でき、さらにその障害の程度や自閉性傾向の個人差を測定できるとされています。現在、研究・臨床の双方で国際的に利用されています。
自閉症スペクトラム指数を測るAQテストの項目は自閉性障害の症状を特徴付ける5つの領域、社会的スキル、注意の切り替え、細部への注意、コミュニケーション、想像力について各 10問ずつ全体で 50項目から構成されていて、四択の強制選択法となっています。
AQテストの解答用紙には配点に関する情報が無く、被験者は結果を気にせずにありのままを回答することができます。今はネットでも簡単なチェックリスクを利用することが可能ですが、詳細は病院やクリニックにて精神科を受診し、医師による診断を受けることが必要になります。
自閉性障害は自閉症スペクトラム指数だけで診断されるわけでは無く、社会性やコミュニケーション能力、その人が持つこだわりなどを総合的に判断する必要があります。しかし、自閉症スペクトラム指数は一定の信頼が置けるものになっていて、現在では発達障害の専門外来でも使われ、広く普及しています。