認知バイアスとは
認知バイアスとは、物事を評価したり選択する際に無意識のうちに事実をゆがめてしまうことです。
事実をゆがめるのは自分の希望や利益が実現することを反映させたいがためですが、認知バイアスは自分が事実をゆがめているという自覚がなくても無意識のうちに行ってしまうものであり、誰にでも起こりうることなのです。
認知バイアスは行動心理学によって研究されていて、日常生活においても様々な場面で起こっています。
例えば、自分が勤めている会社に新入社員として偏差値が高い有名大学を卒業した人が入社したとします。その新入社員の働きぶりを見る前に有名大学を卒業したということが伝わっていると、無意識のうちに「有名大学を卒業しているのだからこの新入社員は優秀だろう」と判断してしまうのです。実際に「有名大学を卒業していれば、その会社で優秀な働きが出来るか」ということは証明されているはずがなく、認知バイアスによって新入社員に過度の期待をすることになります。これは「内集団的バイアス」と呼ばれるものです。
また、「認知的不協和」と呼ばれる認知バイアスも頻繁に起こります。
これは周囲と同じ立場にならなければ不安が生じることから無意識的に起こることで、友人たちと同じ映画を見ているときに、友人たちは一様に涙を流し感動しているのに対し、自分はそれほど感動していなかったとしてもこの映画は感動すると思い込んでしまうのです。この認知的バイアスによって周囲と感情を共有することが出来るようになり、周囲との不協和は解決します。
テレビや雑誌などでよく行われている占いも認知バイアスを利用しているものがあります。占いで発表される運勢が悪い場合、ラッキーアイテムとして赤い傘や緑の靴下など様々なものが提示されます。その通りにラッキーアイテムを身につけて外出し、良いことが起こった場合にラッキーアイテムを身につけていたおかげだと錯覚し、占いを信じてしまうのです。これは「バーナム効果」と呼ばれるもので、誰にでも起こりうることを自分に当てはめ、無意識のうちに関係を構築してしまうのです。
認知バイアスは無意識に行われますが、事前に認知バイアスが起こる可能性があるということを知っていると正常な判断が行えます。現在でも研究が続けられていますが、認知バイアスの仕組みが解明されれば、無意識のうちに行われる判断によってどのような間違いが起こるかを予測し、間違いを回避することが可能になるのです。