調って虎を山から離す

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調って虎を山から離す

調って虎を山から離す(はかってとらをやまからはなす)

古来より、人は自らの教訓を言葉で残し、古人の知恵や経験を「故事成語・ことわざ」として現代に伝えてきました。

その中から、時を超えて、人生に様々な示唆を与えてくれる「故事成語・ことわざ」を独断と偏見で選んでみました。きっとビジネスだけでなく、人生においても参考になるでしょう。

今回選んだのは、

「調って虎を山から離す(はかってとらをやまからはなす)」

という中国の有名な兵法書「三十六計」が出典の故事成語です。

「調って虎を山から離す」とは

「調って虎を山から離す」とは、
相手にとって有利な本拠地から誘い出し、自分たちにとって有利な体勢で戦う」という意味になります。

「調って虎を山から離す」の話

項羽と劉邦が戦った楚漢戦争において、劉邦軍の別働隊として諸国平定に転戦していた韓信軍3万は、井陘(せいけい)の地で趙の陳余率いる20万の軍勢に行く手を阻まれます(井陘の戦い)。

城に籠って正攻法をとる趙軍に対して、韓信は不利と言われる川を背にした布陣としました。韓信の布陣を見た陳余は「兵法を知らぬ者」と笑い、わずかな兵を城に残しただけで、ほぼ全軍を率いて韓信軍に攻め掛かったのですが、川を背にして後ろがない韓信軍は死に物狂いで戦ったため、打ち破ることができません。そのため被害拡大を恐れた陳余は城へ撤退することにしたのですが、城まで戻ると、すでに城は韓信軍の別働隊2千で制圧されており、趙王も捕らえられていました。

帰る場所をなくし、主を失った趙軍は動揺して総崩れとなり、井陘の戦いは兵力に劣る韓信軍の勝利となりました。

現代のビジネスにおいても、相手方にとって有利な状況で競うのは、損害が大きく得策ではありません。中小企業のように、ライバルの方が自力に優っているような場合では、「調って虎を山から離す」のように自らの得意な状況に相手をどうやったら持ち込めるか、を考えて実践することが大切だと言えるでしょう。

 

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