7対3の法則とは
「7対3の法則(7・3の法則)」とは、ビジネスの世界において、いろいろな場面で7対3の割合になっていることが多いという経験則です。あくまでも経験則ですので絶対的な根拠などありませんし、どんな場合にでも常に当てはまるというような性質のものでもありません。ただ、経験的によく当てはまることが多いということです。
「7対3の法則」について具体的に見ていくことにしましょう。
仕事では上位3割の者が7割の成果を生み出していると言われることがあります。具体的な例を挙げれば、営業職を売上高順にソートすると、成績上位3割の者だけで、売上げ全体の7割を占めていることがよくあります。これが「7対3の法則」です。「7対3の法則」を正面から捉えると、「優秀な者だけを厚遇し、優秀でない者はどんどん切り捨てていきなさい」というように見えますが、実際は、どんな集団であっても集団である限りは成績上位の者、中位の者、下位の者が必然的に生じるというように事象のみを捉え、そのことについての対処を考えていくべきです。
つまり、例えば成績上位の3割が成果の7割を生み出しているからといって、その集団から成績下位の者を切り捨てれば、より効率の良い営業集団に生まれ変わるかというと決してそんなことはなく、それまで成績上位や中位であった者だけを集めて新たな集団を作れば、やっぱりその中で上位3割の者が7割の売上を生み出しますし、成績下位の者はやはり生じてしまうということです。
逆にいうと、今の集団の中で成績下位の者であっても、その者だけを集めて一つの集団を作れば、それは箸にも棒にもかからないどうしようもない集団になるかというと決してそんなことはなく、その者の中から優秀な成績をおさめる者もまた生じてくるということです。もちろん、実際の会社では例えば成績中位の者だけとか下位の者だけを集めて一つの集団を作るというのは現実的でないかもしれませんが、例えば何らかのプロジェクトを進めるにあたって、そのようにして構成されたチームを活用するというのは十分にあり得ることでしょう。
他に言われる「7対3の法則」とは、例えば顧客と売上の関係です。自社の顧客全体のうち3割だけで、売上げの7割を占めているというような例です。3割の自社のファンであったり、リピーターになってくれている顧客が、売上げの7割を占めており、残りの7割の顧客の売上げを全て併せても3割分にしかならないという例がよく見られます。
「7対3の法則」は、上記のような例にとどまらず、意外なビジネスシーンにも活用できる場合があります。「7対3の法則」と対極に「ロングテール戦略」という言葉もありますが、「7対3の法則」と「ロングテール戦略」を使いこなすことで、経営戦略に幅が出てくるでしょう。