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借屍還魂(しゃくしかんこん)〜 兵法三十六計
兵法三十六計とは、中国の三国時代以降に生まれた兵法書で、宋の名将 檀道済がまとめたと言われています。
そして「兵法三十六計」に書かれた故事や教訓は、単なる兵法ではなく処世術としても活用され、広く知られるようになっています。そういった意味では「兵法三十六計」を知ることで、現代の人たちにとっても人生の参考になるのではないでしょうか。
今回選んだのは、兵法三十六計の第十四計
「借屍還魂(しゃくしかんこん)」
です。
「借屍還魂(しゃくしかんこん)」とは
「借屍還魂」とは、
「すでに死んでいたり、誰も見向きをしていないものを利用して大義名分にし、自らの目的を達成する」計略のことです。
「借屍還魂」の話
室町幕府の十五代将軍 足利義昭は、家臣の三好氏・松永氏に京から追放された後、諸国の大名を元を転々としていました。各大名は実権を失った足利義昭を庇護するだけでしたが、1568年7月に美濃を支配下に収めた新興勢力の織田信長を頼ったところから事態は大きく動くことになります。厚くもてなした織田信長は、わずか二ヶ月後に足利義昭を奉じて京都に入り、兵を損なうことなく天下を制してしまったのです。
織田信長は、権力を失い、誰も見向きをしなかった足利義昭の「十五代将軍」という地位を大義名分に自分の野望を達成したことになります。
現代のビジネスにおいても、事を成す場合「大義名分」は重要なファクターです。他人の過去の実績や栄光を借りて箔をつけることで、賛同を得やすくしたり、事を成就するまでの期間を短縮できる場合もあります。
使えるものは使って、自らの目的を達成していくのも成功の秘訣と言えるでしょう。