フェイルセーフとは
フェイルセーフとは、機械やシステムにおいて問題が生じた時、必ず安全側に落ち着く制御を行う為の設計思想のことです。
例えば、スイッチで動作する機械を止めたい場合に、もう一度スイッチを押さないと止まらない設計は、人の手から離れて暴走してしまえば、手を付けられない状況になりかねず危険です。
逆に、スイッチを押している間だけ動作する仕組みの機械は、万が一手を離れても自動で停止するので、安全性が大きく増します。これが「フェイルセーフ」の考え方です。
「フェイルセーフとは何か」を知ると、案外身近でも用いられていることが分かりますし、フェイルセーフの設計思想のお陰で安全性が向上していると理解できます。
ではここで、いくつかフェイルセーフの実例について見てみることにしましょう。
フェイルセーフの実例
自動車の分野では、エンジンが故障してもギヤを切り離せるようにして、車体を安全に止められる設計にするのが普通です。つまり、動力その物が止められない場合は、他の部分で動作を止めたり安全性を確保するのも、フェイルセーフだといえます。
また、空を飛ぶ飛行機は、空中でエンジンが止まると安全性が致命的に低下しますから、残りのエンジンだけでも飛行能力が維持できたり、最悪の場合は、本体だけでも滑空することが可能になっています。
これも、フェイルセーフとは何かという理解が深まる仕組みの一つで、実際に取り入れられている安全確保の設計に他なりません。
過電流で簡単に故障してしまう電子機器は、電流の入力部分にヒューズを入れることによって、機械の故障に備えるフェイルセーフとしています。ヒューズに定格を超える過電流が流れると、熱によって自身が焼き切れるので、故障の被害が食い止められる結果に繋がります。
さらに、鉄道のブレーキ設計においては、各車両の連結が外れたりブレーキ自体が壊れてしまっても、自動で非常ブレーキが掛るようになっています。
自動というキーワードは、フェイルセーフとは何かを知る上で、特に重要なポイントになるといえるでしょう。この、非常時に自動で安全性を確保する設計は、石油を燃焼させるストーブで理解したり納得することができます。
水平に設置して使うことが想定される石油ストーブは、設置時に底面のスイッチが常時押されるようになっていて、傾いたり転倒するとスイッチが外れて自動的に消火します。燃料が漏れ出ることになっても、火事のリスクとなる火種が消えているので、フェイルセーフが働く結果に結び付きます。
フェイルセーフは多重に安全機能を盛り込む方法ではなく、問題が起こることを前提に、万が一に備える為に生み出された考え方です。故障や事故を起こさない多重安全の設計思想とは異なることを覚えておきましょう。