朝鮮学校が高校無償化にならない理由

真相まとめ 報道されない話

朝鮮学校が高校無償化にならない理由

「朝鮮学校がなぜ高校無償化制度の対象外なのか?」
について考える

先日、とある新聞で「朝鮮学校だけが高校無償化制度の対象外とされ、子どもたちに支給される神奈川県の補助金も打ち切られている問題」について取り上げられていました。

この記事では、〜「同じ高校生、差別おかしい」朝鮮学校生徒が署名活動 〜 というタイトルで、朝鮮学校の生徒が「政治的理由で自由に学ぶ権利が侵されている」と訴えている姿を伝えていたのですが・・・

ということで今回は「朝鮮学校がなぜ高校無償化制度の対象外なのか?」について考えてみることにします。

まず、朝鮮学校がなぜ高校無償化制度の対象なのかどうかを考える前に知っておくべきキーワードがあり、それが「一条校」という言葉です。

一条校とは?

一条校とは、学校教育法の第一条に定められる教育施設のことで、幼稚園・小学校・中学校・高等学校・大学(短期大学および大学院を含む)および高等専門学校などを指します。

学校教育法

第一条:この法律で、学校とは、幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学及び高等専門学校とする。

一条校は、教育基本法に規定する「法律に定める学校」の範囲と解釈されており、一般的な法解釈では、一条校は公の性質を持つとされています。そのため、就学前教育(幼稚園など)・初等教育(小学校など)・中等教育(中学校・高等学校など)における一条校の教育課程は、文部科学省が「教育課程の基準」として公示する教育要領・学習指導要領に基づいて定められています。

ちなみに高等教育の課程である大学(短期大学および大学院を含む)および高等専門学校には、憲法第23条に規定された学問の自由に照らして、学習指導要領・教育要領の適用はありません。

朝鮮学校は一条校ではない

朝鮮学校とは、在日朝鮮人に対して朝鮮語を使った教育をする独自の教育施設です。

上記の新聞報道で取り上げられていたのは、日本での高等学校にあたる「朝鮮高級学校」のことだと思われますが、日本の中等教育にあたる「朝鮮高級学校」での教育内容や学校運営に関わる事項は、朝鮮総連および北朝鮮の朝鮮労働党が事実上決定しており、文部科学省が「教育課程の基準」として公示する教育要領・学習指導要領に基づいて定められていません。

その結果、朝鮮高級学校を含む朝鮮学校は学校教育法に定める一条校ではなく(つまり一般的に言われる「学校」ではない)、各種学校の扱いになっています。

各種学校は、例えば予備校や自動車学校、料理学校、裁縫学校のようなものを指し、朝鮮高級学校は一般的な「高校」とは大きく異なります。

朝鮮高級学校が高校無償化制度の対象外なのは不当な差別か?

では、ここまでの内容をまとめてみましょう。

朝鮮高級学校は「一条校」ではない(つまり「高等学校」ではない)

朝鮮高級学校は予備校や自動車学校などと同じ「各種学校」である

朝鮮高級学校での教育内容は朝鮮総連および北朝鮮の朝鮮労働党が事実上決定している

単純に言えば、朝鮮高級学校へ高校無償化制度を適用することは、予備校や自動車学校などに対して税金を投入して学費を無償化することと同じ意味合いになります。そういった意味では「差別」ではなく「区別」というべきでしょう。

あとは人道的に救済を行うべきかどうかという判断は残りますが、教育内容について北朝鮮の朝鮮労働党が事実上決定する「各種学校」となれば、昨今の北朝鮮による我が国への恫喝まがいの発言を鑑みて、法を曲げてまで救済すべき事案ではないと思われます。

今回の新聞報道はフェイクニュースではありませんが、法的根拠の説明はなく、朝鮮学校の立場のみの視点で記事が書かれている点では公正な報道と言えません。新聞・テレビは正しい認識を持った上で記事にして欲しいものです。