先日も飲食店を開きたいという方のお話を伺ったのですが、この方、驚くべき「猛者」でした・・・。
起業する時には、ビジネスモデルが必要 です。基本的には、プロとしてやっていける業務経験がベースにあった上で、お客様に満足していただきながら、事業を黒字にするという「勝算」が重要となります。
もちろん初めて起業する場合、経営初心者ですから、色々と想定しないことが起こります。ただ、それとは別に、ビジネスモデルをしっかりと事前に考えなければなりません。
例えば、
- どういった客層をターゲットにするのか?
- ターゲットに対してどういったサービス・商品を提供するのか?
- 事業化することで、収支は成り立つのか?
などは非常に重要なポイントです。
さらに、飲食店等であれば、同一商圏内の市場調査も必要ですし、競合となる店舗を把握し、そういった競合店舗と同差別化するかの戦略も必要になってきます。
ここで、先日会った方の話に戻しましょう。その方は、飲食で起業をしたいということだったのですが、その際にこんなことをおっしゃっていました。
- 現在、開業資金を貯めているが、貯まり次第、開業したい
- 飲食業で働いたことはないが、接客には自信がある
- 自分は料理が特に上手という訳ではないが、昔から飲食業をやってみたかった
- お店が安定してきたら、店長を雇って店長にお店を任せていきたい
- 万一、お店が上手くいかなかったら、接客を活かしてスナックに変える
といった具合で、私は正直驚いてしまいました。
さらに料理が特に上手くないのに、飲食業で起業したい理由を聞いたところ、「接客が好きなのを活かせるし、飲食業だと起業が簡単そうに思えた」とのことで、料理の腕についても「今はクックパッドを見れば大体の料理が出ているので、料理のレパートリーは自由に増やせるし、レシピ通りなら味も美味しく作れる」という驚きの返事でした。
起業して事業を始めるということは、「プロになる」ということです。そして「プロとしての技」を一般の方に買っていただくということです。
飲食店を開業したいという夢を持って、夢の為に開業資金を貯めていることはすごいことだと思いますが、飲食業を選んだ理由以降はかなりいただけません。プロとは何なのか? を一から考える必要がありそうです。中には趣味が高じて事業を始める人がいますが、それでも上手くいかないことが多いのに、趣味ですらないのであれば結果は自ずと見えてきます。
さらに言うなら、起業した当初、最も信頼できるのは「自分自身」です。不安定な創業期に、最低賃金より安い給料で、労働基準法違反となるような長時間労働でもこなせるのは「自分自身」しかいません。その意味では、自分自身がしっかりとしたノウハウを持つことは起業の成否を決定づける大きなポイントだと思います。
最初の1年で約 60%が失敗する と言われているのが「起業」です。さらに5年生き残れるのは約 15%、10年生き残れるのは約 6%です。
安易な考えで起業するのは非常に危険です。もちろん必要以上に恐れる必要はありませんが、しっかりと自分が行おうとしている事業を分析して、勝てる算段をしないで起業してしまうと、あっという間に失敗するということになりかねません。
「彼を知り己を知れば百戦殆からず」ということわざがありますが、リスクが高い起業だからこそ、勝つべくして勝つようにしたいものです。