クロスセルはその言葉自体を耳にしたことがなくても、知らない間に関わっている、意外と身近なマーケティング戦略の一つです。
今回はそんな「クロスセル」について説明してみましょう。
例えば、なんらかの商品の購入を考えている時に、その商品と関連する商品を一緒に購入することで割引になるといったように追加購入をすすめられたという経験を持つ方は多いはずです。実はこれこそが「クロスセル」という販売方法で、消費者が希望している商品と別の商品を単独または追加で購入するように薦めるというものを指すのです。
「クロスセル」によって消費者一人あたりの購入点数を増やすことができますので、結果的に購入金額を向上させることに繋がるのです。
しかし、当たり前ですが、この方法はただ適当に商品を薦めても成功することはありません。
例えば実店舗の場合、クロスセルを意識するあまり、通路をふさぐほどクロスセル用の商品が山積みになっている状態にしているお店がありますが、消費者にはいい印象はあたえられず、購入しにくく感じて、かえって消費者離れが加速してしまう可能性もあります。
そしてそれは、実店舗だけでなく、ネット通販サイトなどでも変わりません。昨今はネット通販で商品を購入するとページを遷移するたびに他の商品が多数レコメンド(推奨)されるサイトが少なくありませんが、ページを遷移するたびに何度もレコメンドされたり、大量の商品がレコメンドされると、消費者側はうんざりして、購入を止めてしまうだけでなく、最悪のケースでは、そのサイト自体の利用を控えるようになってしまうというリスクも出てきます。
これではマーケティング戦略というよりは押し売りとあまり変わらない印象を与えてしまいかねません。
これらのことから考えれば、クロスセルを成功させるためには、ただあれもこれもと薦めるのではなく、消費者が本当に便利だったり欲しいと感じ、納得して商品を追加購入できる形となるように必要な商品を提案するノウハウが重要となるのです。
そのために欠かせないのが最新の顧客情報です。売り手の勝手な思惑や思い込みで商品を薦めるのではなく、消費者の立場に立ち、消費者が購入しようとしてる商品だけで十分に満足できるかどうかを考え、必要であれば消費者のサポートとなるように新たな商品を提案するというのが、本来あるべきクロスセルの基本理念といえます。