AIDCAとは、注目、関心、欲望、確信、行動といった英単語の頭文字をとったものであり、消費者が実際に消費行動をするまでの心理的なプロセスを、単純なモデルとして提示したものといえます。
AIDCAとは別に、これに類似するような名称の考え方もいくつか提唱されていますが、その場合、注目以下の要素のいくつかが他の用語に置き換わっており、それぞれ提唱した人物、主体となっているビジネスの分野が異なっています。もっとも、名前や要素が違うとはいっても、根本的に消費行動のモデル化という大きな点では共通しているものです。
このような消費行動の法則性を認める端緒となったのは、アメリカの広告販売の実務家であったローランド・ホールが戦前に提唱した理論で、実は意外と古くからあったものといえます。
ただし、ホールの考えでは、注意、関心、欲求、記憶、行動という5つの段階(AIDMA:アイドマ)をとるとされていましたので、今日のものとはニュアンスに若干の違いがあるといえるでしょう。
消費者の心理はうつろいやすいものですが、まずは特定の製品やサービスが世の中に存在することが注目され、それに対して消費者が意識的に関心をもつという段階がはじめにあります。
そして、関心が高じて、その製品やサービスを手に入れて生活を便利にしたいなどといった所有欲が生まれ、さらに製品などの詳しい情報を得るなかで、自己の欲望が正しかったことに確認がもてた段階で、最後に実際に店頭で購入するといった行動に至るというわけです。
こうしたことから、注目、関心、欲望、確信、行動というそれぞれの段階にぴったりとマッチするような広告宣伝を打つなどすることによって、消費者の心理を行動へと誘導することが、企業にとってのマーケティング戦略の大きな着目点になります。
具体的な手段としては、チラシやパンフレットを頒布したり、イベントを主催または協賛したり、テレビでコマーシャルを放映したり、製品やサービスの説明会を開催したり、製品レビューの募集と公開を行ったりといった、様々なものが考えられますが、いずれも注目以下のどのような段階に訴えかける目的があるのか、そして内容としては十分に目的に見合ったものであるのかを、たえず検討することが大切であるといえます。
AIDCAとは、あらゆる企業の製品やサービスの販売促進などにとって有効な考え方であるといえますが、特に広告業界、マーケティング業界では重宝される消費行動モデルです。
ローランド・ホールが提唱したAIDMAとは・・・
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