日本に存在する全企業のうち、約99%は中小企業で構成されており、したがって中小企業が日本の社会や経済を支えていると言っても過言ではありません。そのため、日本ではそんな中小企業をサポートする法律や制度が多く存在し、雇用調整助成金はその中の一つです。
雇用調整助成金とは、経済の流れや企業を取り巻く環境の変化などによって経営が上手く回らない企業に対して、一時的な雇用調整を支援することにより、全体的な雇用を守ろうとすることを目的としたものです。
ここでいう雇用調整とは、同じ企業に雇用され続けることを維持するということではなく、一時的な休業や教育訓練、出向などを伴うものであり、この間に経営を立て直して、改めて雇用の安定性を維持しようとすることを意味します。
雇用調整助成金を受給するためには、雇用保険の適用事業主であることや、最近3ヶ月の売上高などの事業活動を示す指標が、前年同期よりも10%以上減少しているなどの条件を満たす必要があり、さらに休業や教育訓練の計画を立てて申請する必要もあるので手間がかかりますが、それでも助成金によって経営を立て直す良い機会になるので、利用しない手はないでしょう。
雇用調整助成金の具体例を示してみましょう。
スーパーを営んでいる事業主が、その既存店の業績が良いので2号店を出店したとします。しかし、ビジネスは甘くなく、既存店に比べて2号店の業績は思ったよりも振るわず、2号店で働く従業員の給与などは既存店の売り上げに依存していました。やがて、2号店の改善点が徐々に明らかになり、それらを実施することで業績の改善が見込まれることも期待されていますが、それらを実行する余裕がありません。
そこで、雇用調整助成金によって一時的に雇用調整を行うことによって改善を図っていきます。従業員の訓練、あるいは休業や出向にするわけですが、その間も助成金によって給与等は支払われるので雇用は維持されています。その後、経営を立て直すことに成功した2号店に改めて従業員を配置することによって、結果的に雇用は守られることになります。
このように、雇用調整助成金とは、従業員の雇用を継続的に守るために非常に効果的であるといえるでしょう。
もちろん、雇用調整助成金は無制限で受給できるわけではなく、たとえば休業や教育の場合、受給初日から一年間で最大値100日分、3年間で最大300日分が限度となります。ただ、これだけでも従業員の雇用を守るためには十分なので、ぜひ活用してみましょう。
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