ゴーレム効果とは?

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ゴーレム効果とは?

ゴーレム効果とは

ゴーレム効果とは、1960年代のアメリカの教育心理学者ローゼンタールにより提唱された学説で、教師の期待度が低い子どもは、結果として成績が下がるというものです。

ローゼンタールとフォードは、大学の心理学の教室において学生に迷路実験をさせる際に、学生に対して、よく訓練されたネズミと、訓練されていない愚鈍なネズミとを分けて渡しました。

実際のところ、ネズミにはまったく違いはなかったのですが、学生たちは、よく訓練されていると言われて渡されたネズミを丁寧に扱い、愚鈍だと言われて渡されたネズミをぞんざいに扱いました。その結果、迷路実験の成績に明確な差が現れました。丁寧に扱われたネズミは迷路実験で好成績を出し、ぞんざいに扱われたネズミは迷路実験での成績が低かったのです。

教育心理学者であるローゼンタールは、この効果が教育現場でも同様に起こるのではないかと考え、サンフランシスコの小学校において、ハーバード式突発性学習能力予測テストという名前のテストを行いました。

実際はただの知能テストでしたが、教師にはこれから数カ月において、成績が伸びる子どもを割り出す検査であるということにし、どの子どもが今後成績を伸ばすのかを名簿で伝えました。その後、成績が伸びる子どもとして伝えられた子の成績が向上したいう報告論文が発表され、この効果がピグマリオン効果として名づけられました。

この論文では、教師が成績の向上を期待する子どもには、期待の眼差しを向けるため、子どもはその期待に応えようとして成績が向上するという主張が行われました。

ちなみに、ピグマリオンというのはギリシャ神話を収録した古代ローマのオウィディウス、変身物語に登場するピュグマリオン王が女性の彫像に恋い焦がれ、その願いに、アフロディテ神が応え、彫像を人間化させたという伝説に由来しています。

ピグマリオン効果と逆の現象を意味するゴーレム効果では、上述した成績だけではなく、教師が子どもに悪い印象をもって接してしまえば、子どもは自分はどうせだめだという意識を持ってしまい、結果として悪い人間になってしまうという指摘もあります。

ゴーレムはユダヤの伝説に登場する意思のない泥人形のことで、額に真理(emeth)という文字が刻まれており、””e””の一文字を消すと死(meth)になってしまい、土に戻ってしまうという逸話からきています。存在を無視してしまえば、無視された相手は死んだことと同じになってしまうということであり、ゴーレム効果の恐ろしさを物語っています。