「辞世の句」とは、人が死の間際に詠む漢詩・和歌・俳句などのことです。自分の人生を振り返り、この世に最後に残す言葉として、様々な教訓を私たちに与えてくれるといって良いでしょう。
古来より数えきれない辞世の句が残されてきましたが、今回は、お市の方の最後の言葉として、お市の方の辞世の句を紹介してみることにします。
お市の方の最後
お市の方は、戦国武将 織田信長の妹で、浅井長政の正室として嫁ぎました。そして、豊臣秀吉の側室となった茶々、京極高次の正室となった初、徳川秀忠に嫁いだ江の三姉妹の母親としても知られています。兄 信長の死後、お市の方は、柴田勝家に嫁ぎましたが、後継者の主導権争いで起こった賤ヶ岳の戦いで羽柴秀吉に敗れた夫 柴田勝家とともに、1583年6月14日、北ノ庄城にて自害しました。享年は36歳前後であったと言われています。
そんなお市の方の辞世の句と言われているのが以下の句です。
お市の方 辞世の句
「さらぬだに 打ちぬる程も 夏の夜の 別れを誘ふ ほととぎすかな」
現代文に訳すなら、「普通ならもう寝る時間なのに、これはまるで夏の夜に別れを誘い鳴くホトトギスみたいですね」といったところでしょうか。
浅井長政、柴田勝家と二人の武将に嫁いだお市の方ですが、時代の流れに揉まれ、不運にも天寿を全うすることはできませんでした。
しかしその後、お市の方の血は、三女の江を通じて徳川家へと、そして今上天皇へと受け継がれていくことになります。
お市の方が死を前にした時、彼女の頭の中を去来したのはなんだったのでしょう。このお市の方の最後の言葉である辞世の句は、皆さんの心にどう響きましたか?
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