現状維持バイアスとは
現状維持バイアスとは、人の心理的傾向を指す言葉で、簡単に言うと「変化を恐れ、現状維持を望む心理傾向」のことです。バイアスという言葉はあまり聞きなれない言葉ですが「先入観・偏見」という意味です。
例えば、自社の業務システムについて画期的な提案をしてきたシステム会社があるとします。既に同業他社への導入実績もあり、成果も出ており、コスト的にも妥当、というような場合、論理的に考えれば「導入すべき」という結論があっさりと出ますが、実際に決定を下す立場の人に「現状維持バイアス」がかかっていると「とりあえず今のままで」となる事が多いのです。
現状維持バイアスの心理とは「人は良い物と悪い物を比べると悪い物に、より敏感に反応する」という特性が根本にあります。
例えば、五体満足で病気や障害が無い人がどこか一カ所に小さな切り傷を負うと、全体から見たら「数百分の一」であり「何ら大きな影響は無い」小さな切り傷が気になってしまい全体の充足感が失われてしまうということがあります。
これを別の言い方で表すと「人は得ることより失う事を恐れる」とも言えます。「既に持っている物の方が確実で、“新しく得られる”物は本当に今の物より良いのかどうかは分からない。だから現状維持が良い」という考え方です。
これは生物が本能的に持っている「危険回避」の行動であり、人間なら誰でも持っている心理なのですが、この心理が過度に働くと「現状のみを肯定し、それに反する物は受け入れない」という心理状態にまで発展します。
現状維持バイアスは、人間が持つ危険回避本能ではありますが、過度な現状維持バイアスはマイナスに働いてしまう事もあるので注意が必要です。
では、過度な現状維持バイアスに陥った場合、どうすれば良いのでしょうか?そういった心理状態を打破するには以下の方法が有効だと言われています。
新と旧を数値化して比較する
数値という具体的な物が安心感を持たせてくれます。
最悪のケースを想定する
現状のままだと最悪の場合はこうなる、という想定をする。
ビジネスを行っていく上でも、変革が必要な時期が出てきます。そういった時「現状維持バイアス」に支配されないようにしたいものです。