CFTとはクロスファンクショナルチームの頭文字から取った略称で、簡単に言うと「多くの人材を編成するチーム」のことです。
CFT について、最初に思い浮かべるのは、日産自動車のカルロス・ゴーン社長が低迷した経営を回復させるために提唱した企業改革の手法(日産リバイバルプラン)でしょう。CFT の活用によって日産の業績がV字回復したことはニュースなどでも取り上げられていましたので、多くの人が目にしたことがあるかもしれません。
企業の抱える問題を解決するには、専門知識を持った人材を集めてチームを編成するのが一般的で、通常は同じ部門から選出されるものですが、CFT は部門や役職に問わず解決するに適切な人材を集めるのが目的となります。
優秀な人材であれば門戸を広げるのが CFT で、必要に応じては社外からも集めるケースがあります。
企業はひとつの歯車として部門を設立し、その中で活動するのが慣わしとなっていますが、このハードルを外して余所からアイデアや知識を引っ張ってくるというのは生半にできるものではありません。本来なら別部門からの横やりが入ると、組織として上手く機能しないことも多いので、誰もが忌避する方法とも言えます。
しかし、同じセクショナリズムで活動してしまうと、その範囲でしか物事が考えられなくなり、新たなアイデアが出てこないというデメリットを抱えるのも事実です。
同じ企業で働いているので部門を跨いで繋がっているのは確かですが、問題は部門ごとの分業が進んでいることから、企業全体を俯瞰して管理するといったことが難しくなります。片方の部署では問題がなかったのに対し、別の部署では在庫が倉庫に残ったまま処理できずに困っているなどの問題が少なからず存在しています。
こうした問題を各部署で明らかにして対策を進めることができるのが CFT の長所で、CFT によって各部門が一堂に会して全体を俯瞰して見ることで改善策を見出すことが可能となります。
解決策を検討する中で、それぞれの部門において利害が一致しないということも少なからずあり、必ずしも良い結果になるとは限りませんが、企業の全部門が目的を共有することで最善策を見つけることもできるようになるはずです。あるいは次善策を実施することによって、これまで停滞した企業の運営が少なからず回り始めるといったことも期待できるでしょう。
CFT は各部門の壁を取り除いて協議を行ったり、専門知識を集めることができるのが大きなメリットで、セクショナリズムの弊害によって硬直した組織運営を刷新することができるのが最大の特徴となります。