健康経営と中小企業

健康経営と中小企業「健康経営」は、中小企業経営において昨今クローズアップされているキーワードの一つです。

【関連記事:健康経営とは?

中小企業の経営者にとっての関心事としては、「売上を上げる」「収益を上げる」「資金繰りが安定している」「従業員が不満をためずに働いてくれる」といった項目が多いのですが、何といっても「労災事故をゼロにして事業を安定的に回していく」ことが最低限必要なことで苦心されている経営者も多いと思います。

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一度、労災事故が起こってしまえば、労働基準監督署への報告、事後処理、また事故のレベルが死亡事故ともなれば、遺族との補償交渉や、補償内容が遺族にとって満足度が低い場合は、中小企業の経営者を被告として事業者側の責任を追及する訴訟リスクを抱え込まないとも限りません。

企業経営を行っていくうえでは、少数精鋭の陣容とし、人件費コストもできるだけ抑制し、最大限の利益拡大を指向していく、そのように考える中小企業の経営者が多いことも事実です。しかし、一口にいって少数精鋭の陣容を整えるということは言葉でいうほど簡単なことではありません。

現在、全国的に有効求人倍率が20数年前のバブル期同様に推移していますが、人口減少社会が有効求人倍率を引き上げている点で、バブル期とは全く異なっています。さらに今後、少子高齢化が顕在化することが予測されていますから、新規により優れた人材を集めることは、以前にも増して難易度が高くなっているわけです。

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つまり、少数精鋭の会社を実現しようとする場合、優れた人材の獲得によるものではなく、現有戦力である「現在雇用している従業員のレベルアップによって企業業績の改善を図ることが求められていく」ことが現実的な選択になってくるわけです。

しかし、現行の従業員のレベルアップを図るとなれば、一日の労働時間で最大限の効率的を追求して実績を上げなければなりませんし、また、伝えるべき技術や技能をどのようにして教育・伝達していくかなど、中小企業の従業員の労働密度は自然に上昇していくものと思われます。

そういった中で、中小企業経営者が従業員の健康に関して気を配ることは案外見過ごされる項目になりがちです。

例えば、一次健康診断で要精検を指摘された従業員が何人いるか、把握している中小企業経営者の割合はどの程度になるでしょうか?おそらくはそんなに高い割合にはならないでしょう。そして二次健康診断を本当に受診したかどうか、従業員に声を掛けている経営者の割合はどの程度でしょうか?こういった中小企業経営者はごくごく少数なのではないでしょうか?

また、従業員の中には、労働環境の変化から精神面において変調をきたし、長期間にわたって就業できなくなっている方も多くなっています。そして、メンタル面で変調をきたして自殺に至ったり、自殺に至らずとも長期にわたり就業不可能とされ、訴えられて会社側の責任が問われるケースは珍しくなくなってきています。

そしてその結果、メンタルヘルス面で変調をきたした原因が、会社側が課した長時間労働、パワハラ的行為や言動が認定されてしまえば、会社として多額な賠償金を支払う義務が生じるということにもなりかねません。

こうしたリスクを回避し、従業員のメンタルヘルスを事前に予防するために、従業員50人以上を抱える事業所においては年一回以上のメンタルヘルスのチェックを実施することが義務づけられましたが、中小企業経営者として、管理者層・中間管理者も含め「従業員各人のメンタル面が健康な状態を保っているかどうか把握していること」は、健康経営を推進していく上でととても重要なことの一つだと言えます。

だからこそ、メンタル面での健康を保ち、変調をきたす懸念がある、あるいは不幸なことに既に変調をきたしてしまっている従業員に対し、外部医療機関等の助けも借りながら適切に対応していこうという方針が、健康経営の基本的枠組みなのだと考えるべき時代になってきています。

健康経営の本質は、経営の4要素「ヒト・モノ・カネ・情報」のうち、「ヒト(=従業員)」を最も大事なものとしていこうという姿勢です。

メンタルヘルスのみならず、体調に不調をきたして長期間に渡り休業する状態に陥ることは、会社にとっても従業員本人にとっても大きな損失となります。最悪の事故である従業員の「死」を避けることはもちろん、健康状態を把握して会社経営として適切に対応していくこと、それも一過性の対応ではなく恒常的な PDCAサイクルを回していくような健康管理を行うことが、健康経営には求められていると言えるでしょう。

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