故事成語

赤心を推して人の腹中に置く

赤心を推して人の腹中に置く
(せきしんをおしてひとのふくちゅうにおく)

古来より、人は自らの教訓を言葉で残し、古人の知恵や経験を「故事成語・ことわざ」として現代に伝えてきました。

その中から、時を超えて、人生に様々な示唆を与えてくれる「故事成語・ことわざ」を独断と偏見で選んでみました。きっとビジネスだけでなく、人生においても参考になるでしょう。

今回選んだのは、

赤心を推して人の腹中に置く
(せきしんをおしてひとのふくちゅうにおく)

という中国の古書「後漢書」が出典の故事成語です。

「赤心を推して人の腹中に置く
(せきしんをおしてひとのふくちゅうにおく)」とは

「赤心を推して人の腹中に置く」とは、
心から人を信じて、まごころをもって接すること」を指します。

ちなみに出典となった「後漢書」の一節を見てみましょう。

更始使いを遣わし、秀を立てて蕭王と為し、兵を罷めしむ。耿弇、王に説き、辞するに河北未だ平らがざるを以ってし、徴しに就かざらしむ。

王、銅馬の諸賊を撃ち、悉く破って之を降す。諸将未だ降者を信ぜず。降者も亦自ら安んぜず。王、敕して各々営に帰って兵を勒せしむ。自ら軽騎に乗り、諸部を案行す。降将相語って曰く、蕭王、赤心を推して、人の腹中に置く。安くんぞ死を效さざるを得んや、と。悉く以って諸将に分配し、南のかた河内を徇う。

とあり、現代文に訳すなら、

更始帝は使者を送って、劉秀を蕭王とし、戦をやめて来朝するよう命じましたが、耿弇は、劉秀に説いて、河北が未だ平定されていないことを理由に召還に応じさせませんでした。

劉秀は銅馬の諸賊をことごとく破って降服させました。しかし将軍たちは、降伏した者達を信用できず、降伏した者達もまた安心することができないでいました。劉秀は、降将たちに元の陣営に帰って部下を統括するように命じました。そして劉秀は、兵装なしの身軽な状態で馬を駆って各部隊を視察しました。それを見た降将たちは「蕭王は、ご自身の誠実な心が他の人の身にも移され宿っていると信じて疑わない。この方のために命を投げ出さないでいられようか」と語り合ったといいます。そして劉秀は降兵を諸将の下に配置し、南方の河内地方を平定したのです。

といった感じになります。この話に出てくる劉秀とは、後漢を建国した光武帝のことです。
 
会社のトップに立つ経営者には、様々な人が集まってきます。そして、集まってくる人は自分自身の心の中を映し出す鏡のようなものだと私は思います。自分の周りには信頼できない人しか集まってこないと嘆いている経営者がいますが、自分自身も人を信じようとしていないのかもしれません。

「赤心を推して人の腹中に置く」

相手を信じないと、相手からの信頼は得られないものです。

 

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