「二次会でセクハラ」で賠償命令に見る企業の危機管理

経営豆知識

「二次会でセクハラ」で賠償命令に見る企業の危機管理先日、新入社員歓迎会の二次会に参加していた女性の派遣社員が男性社員からセクハラを受けたとして、男性社員と会社を相手取る裁判を起こし、その訴えが認められ、男性社員と会社が女性に損害賠償を支払う事案が発生 しました。

会社側としては、勤務外、職場外の事案であり無関係であると主張していましたが、この新入社員歓迎会はこの直前に入社した被害女性などを歓迎するために行われており、職務と密接に関係するものであったと裁判で判断され、会社の責任が認められました。

セクハラを巡る企業の危機管理は年々しっかりしたものになっており、セクハラの講習会が多くの企業で行われるなど、どういうものがセクハラになるのかという説明や言動の確認がなされています。そのため、直接的なセクハラはもちろんのこと、ちょっとした女性社員への言動にも男性社員が気を使うという光景が見られています。

しかし、職場から離れ、酒の場やレクリエーションの場においてこうした意識が希薄になってしまったり、地方や中小企業を中心にいまだセクハラに対する認識の低さが見られるなど、徹底されていないのも現状です。特に、こうした二次会において会社の責任が認定されるということは企業にとっては由々しき事態であり、早急に対処しなければなりません。

男女雇用機会均等法では、企業に対してセクハラ防止の措置が行われることを義務付けています。
それは派遣労働者に対しても同じであり、受け入れ先の企業は自社社員と同じようにセクハラ防止の措置をしなければならないのです。
また、勤務時間外のセクハラに関しても、身体的な接触や性的な発言はセクハラになり、職務上は上司であるという地位を利用して行われているため、仮に勤務外であったとしても業務に関連して行われたとみなされます。

一方、酒を飲むことを強要したり、二次会参加を強く促す行為は程度により、それら全てがセクハラとなるわけではありません。逆に言えば、このあいまいな部分こそが企業の危機管理が問われる大事な要素になります。飲酒の強要も二次会参加の強制も企業内の力関係をつい行使して行われる部分が少なからずあります。今まで大丈夫だったからと安易に考えていると、セクハラとして裁判に持ち込まれる可能性があり、裁判になりニュース等で取り上げられると個人の責任にとどまらず、会社の責任も問われかねない事案です。今後は、企業としても何らかの対応をしておく必要があり、その環境づくりに本気にならなければなりません。

営業など体育会系的な雰囲気の職場などでは、なかなかセクハラを根絶していくのは難しいかもしれませんが、大人として紳士的な対応を取っていくことは会社のイメージアップにつながることを常日頃教育していくことから始めていく必要があるのかもしれません。