エスノセントリズムとは?

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エスノセントリズムとは?エスノセントリズムとは社会進化論者であるウィリアム・サマナーが生み出した造語です。ギリシャ語で民族を表す「ethnos」と中心点を表す「kentron」を組み合わせて作られました。日本語では「自民族中心主義」などと訳されます。

エスノセントリズムは、自分たちの文化を中心において、その他の文化に対する価値判断をする考え方です。

人は自らの生きている慣習や様式を当然の物とする傾向があり、他の文化をそれと比較してどうかを見極めがちです。自分の文化に近ければ正当、そうでなければ不自然と捉えやすい特徴があります。

特別な感覚のように思えるかもしれませんが、十分身近にも発生しうる感覚です。例えば日本人には基本的に魚をお箸で食べる文化があります。しかし、欧米の方々はナイフとフォークを使って魚を食べます。海外の方が日本に来た時に日本食をナイフやフォークを食べていると、違和感を覚える方も少なくありません。これは日本人の持つ魚をお箸で食べる文化を中心に考えている証拠です。

このように自然と異文化に対する違和感が生まれているのがエスノセントリズムの典型例です。

グローバル化が進んでおり、外国の方々に出会うことが珍しく無くなった今でもエスノセントリズムは根強く残っています。移民の方がよく訪れる国々の方であっても、自分の文化との違いから異文化に否定的な態度を示すことは珍しくありません。それらは1つ間違えれば排他的な動きにも繋がりかねません。

エスノセントリズム自体が誤りというわけではなく、その上でどんな態度をとるのかが重要です。人は誰もが自分たちの文化が正しいと考えて生活しています。自らの文化が誤っているかもしれないと考えながら生きている方はいても少数でしょう。しかし、自分たちの文化を正しいと考えていたからといって、異文化を異質な物とみなす必要はありません。

自分の文化も他の文化も正しいと考えることは可能です。相手の文化を認めるために自分の文化を否定するのではなく、どちらも尊重していくことが求められています。

エスノセントリズムが思想の根底にあることを理解し、その上で差別的な行動を取らないことが大切です。また、自分がエスノセントリズムの考え方を持っているならば、相手も同じくこちらの文化を異質に考えているかもしれません。それゆえ、お互いの文化を認め合うことは、同時に認めてもらい合うことでもあります。

これからさらに世の中のグローバル化が加速すればエスノセントリズムも変容する可能性があるでしょう。