美容系・審美系の店舗を中心にグルーポンを使った集客をしたいと相談を受けることがあります。
グルーポンは、表向きノーリスク費用が発生しない広告媒体です。グルーポンに掲載する時は、広告の掲載料は掛かりませんが、割引クーポンを設定する必要があり、割引クーポンは通常売価の50%以下の価格にしなければいけません。
グルーポンを使った集客をしたいと相談に来るお客様については、当社では、過去の事例を引き合いに出して、グルーポンを利用した集客の実態とリスクをお伝えするのですが、「ノーリスク費用が発生しない広告」は非常に魅力的なようで、大半のお客様が一度は手を出してしまいます。ただ、それ以降は一度もグルーポンには手を出そうとはしませんが。
ということで、今回は「グルーポンで集客する会社はなぜリピートしないのか?」ということについて考えてみることにしましょう。
ある店舗に通常の売価が5000円の商品があったとします。グルーポンに広告掲載をする場合は、2500円以下の価格でクーポンを設定しなければいけません。クーポンの価格には“地域の相場”があり、同業他社よりも価格が高ければクーポンが売れませんし、価格を安くするとクーポンは売れますが利益率が悪化してしまいますので、悩みどころです。クーポン枚数はある程度自由に設定できますので、ここでは仮に2000円のクーポンを100枚設定したとしましょう。
グルーポンの販売力は強力ですので、2000円のクーポンが地域で最安であった場合、大半を販売することができるでしょう。ちなみに全クーポンの90%が販売できたと仮定します。
では、この店舗に入って来るグルーポン利用の売上はいくらなのでしょうか?
2000円 × 100枚 × 90% = 18万円
と考えそうですが、実は違います。クーポン売上の50%はグルーポン側の取り分となります。さらに実際にクーポンを購入した方から来店予約を受け、来店してもらってクーポンと引き換えた人数分しか売上にはなりません。来店率が80%だったとすると、
(2000円 × 100枚 × 90%)× 50% × 80% = 7万2千円
が実際に手にできる売上です。
一方、グルーポン側が手にする金額はというと、クーポンの売上から店舗側の取り分を引いたものですから、グルーポンの取り分は 10万8千円 になります。
つまり「定価で売れば50万円になる商品を、10万8千円の広告費を使って、7万2千円の売上を得る」ということになるわけで、グルーポンは決して割りのいい広告ではないことがわかります。
さらに、一定期間内に大量のクーポンを利用してもらわなければいけませんので、色々な問題が起こります。
- お店のキャパをオーバーしてしまい、大量のクーポンが捌けない
- 電話受付をする場合、電話回線や受付担当者が足りず、電話が繋がらない