現在、うつ病等のメンタルヘルスの不調は社会的な問題となってきています。
実際にこのような不調の状態が続き、うつ病、自殺等を引き起こしてしまった場合、社会的損失額は年間約2兆7000億円にものぼるという推計も、10年に厚生労働省が発表しています。
こうしたメンタルヘルスの不調の原因の一つは過度のストレスです。そこでメンタルヘルス対策を強化する為の一環として行われているのがストレスチェック制度です。
ストレス自体は現代社会においては切っても切り離す事が出来ない物となっており、全くない状態にする事はなかなか難しいというのが実情です。そこで重視されているのがストレスを無くすのではなく、軽減する、ということです。
しかしストレスによってどれ位心理的な負担を強いられているのか、バランスが崩れかけているのか、というのはその人によっても違います。
ストレスチェック制度とは働く人たちに対してどのような心理状態になっているか、ストレスの影響はどれ位かということを調べる方法です。そして、ストレスチェック制度によって不調が見られた時は、その結果に応じて面接指導等の対応も行うことが基本です。
ストレスチェック制度は、2014年6月の労働安全衛生法が改正された事によって、2015年12月から従業員50人以上の事務所を対象にして義務付けられる制度となりました。
ストレスチェックを行うメリットとしては、従業員側から見ると、自分がどれ位のストレス状態になっているかを把握できるという点になります。また、事業者側から見ると、組織的にどのようなストレス傾向となっているかを把握することが出来る様になります。
ストレスチェック制度の実施によって、職場の環境を改善したりすると共に、今後働く人の中からメンタルヘルス不調を訴える人を減らす予防も同時に行うことが出来ます。
ただ、ストレスチェック制度は、まだ制度的にもそれ程普及しているわけではない為、対象事業所においては少なくとも年に1回行う様に義務付けられていますが、その義務は事業者側にのみ課せられており、従業員側にはストレスチェックを受ける義務は存在していません。
ストレスチェック自体は専門機関が行い、さらに検査によって高ストレス状態にあると判断された場合は、本人が希望する時は医師による面接指導を受ける事が出来るようになっています。検査結果は本人のみに通知され、本人の同意がなければ会社に伝えられてしまうことは有りません。また、ストレスチェックの結果、面接を申し出た従業員に対して事業者側は不利益な扱いをしてはならないと改正労働安全衛生法でも定められています。