乗蓮寺のベビーカー自粛騒動を考える

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乗蓮寺のベビーカー自粛騒動を考える年明け早々、東京都板橋区にある乗蓮寺での「ベビーカーご利用自粛のお願い」がツイッターなどのSNSを中心に論争になりました。

「ベビーカーご利用自粛のお願い」の内容は具体的には以下の通りです。

ベビーカーご利用自粛のお願い

年末年始は境内混雑のためご入門をお断りする場合がございます。

この件は、ネットニュースなどで取り上げられたので、目にされた方も多いのではないでしょうか。

実はこの乗蓮寺は「ベビーカー・車椅子優先」の寺で、ベビーカーや車椅子用の専用通路を作って優先していました。

それを知った人の中に1台のベビーカーに“家族”が数人、時には10人が同伴して専用通路を通って参拝する人たちが現れ始め、さらに小学生くらいの子供をベビーカーに乗せて専用通路を通る人たちまでいたそうです。

乗蓮寺は参拝待ちが1時間ほど待つこともあるお寺とのことで、通常の通路で真面目に順番を待っていた参拝客からすると面白くはなかったでしょう。

そんな中、ベビーカーにお年寄りが躓く“事故”が起き、お年寄りは大事に至らなかったものの、警察の指導を受け「ベビーカーご利用自粛のお願い」の看板を出すことになったという経緯があります。

そんな乗蓮寺の看板をみてツイッターに

何の落ち度もない単に小さい子供をママさんが初詣に来て、これを見て嫌な気持ちになると想像できないだろうか。なら松葉杖の人も、車椅子の人も足の悪い高齢者も、視覚障害者も全部遠慮しろと?

という、いささか論点がズレたツイートが出ます。

さらにそのツイートを受けて、乙武洋匡氏が

「混雑時のベビーカーは自粛すべきだ」という意見を耳にするたび、車椅子も同じように思われているのだろうと肩身の狭さを感じる。不寛容な社会になればなるほど、「生きづらさ」を感じる人が多くなっていく

とツイートするなど、ネット上で論争になっていきました。

この乗蓮寺の件は、ネット社会でいくつか注意するべき点があることを示唆しています。

まず、ネット上の情報は全て正しいわけではないということです。特にSNSの場合、何らかの意図を持って情報が発信されていることも多く、時に社会への悪意だったり、政治信条を裏に含んでいたりするなど、情報をミスリードさせようとしていることもあり得ます。

元の情報が正しいのか、ニュースソースを確認して、情報の取捨選択をしていかないと、安易にリツィートやシェアすることで誤った情報拡散の片棒を担ぐことにもなりかねません。

今回の乗蓮寺の件は、「ベビーカーご利用自粛のお願い」看板を出すことになった背景を考慮すると、問題なのは参拝客のルール違反だったわけで、やむを得ない判断だったと思いますが、乗蓮寺の側も問題があったように思われます。看板に「警察の指導を受け」などの文言を入れておくことで誤解は避けられたように思います。

SNSは気軽に利用できますが、気軽に利用できるからこそ、条件反射的に流れてくる情報に飛びつくのではなく、自分の頭の中でよく考えた上で利用を心がけましょう。