南船北馬(なんせんほくば)
古来より、人は自らの教訓を言葉で残し、古人の知恵や経験を「故事成語・ことわざ」として現代に伝えてきました。
その中から、時を超えて、人生に様々な示唆を与えてくれる「故事成語・ことわざ」を独断と偏見で選んでみました。きっとビジネスだけでなく、人生においても参考になるでしょう。
今回選んだのは、
南船北馬(なんせんほくば)
という古代中国の有名な古書「淮南子」が出典の故事成語です。
「南船北馬(なんせんほくば)」とは
「南船北馬(なんせんほくば)」とは、
「あちこちを忙しく旅行すること」を指す言葉です。
では、出典となった「淮南子」の一節を見てみましょう。
胡人は馬に便に、越人は舟に便になり。
形を異にし類を殊にするもの、事を易ふれば而ち悖り、
處を失へば而ち賤しく、勢を得れば而ち貴し。
形を異にし類を殊にするもの、事を易ふれば而ち悖り、
處を失へば而ち賤しく、勢を得れば而ち貴し。
とあり、現代文に訳すなら、
北方の異族は馬に乗り慣れていて、南方の異族は船に乗り慣れている。
形や人種が違う者が仕事を替えれば失敗し、
適所を失えば馬鹿にされ、環境にうまく適合すれば勢いに乗って大切にされる。
形や人種が違う者が仕事を替えれば失敗し、
適所を失えば馬鹿にされ、環境にうまく適合すれば勢いに乗って大切にされる。
といった感じになります。
出典となった淮南子での「南船北馬」の意味は、もともとは「適材適所」に近い意味だったようですが、中国の北方は荒野が多いので馬で移動し、南方は川が多いので船で移動したことから、現在の「あちこちを忙しく旅行する」という意味に変わっていったようです。
適材適所は人材活用のベースでもあります。昨今、人手不足が顕在化してきていますが、中小企業にとっては、社員の特徴を見極め、適材適所に配置する能力が問われてきているといっても良いでしょう。