外形標準課税とは
通常、利益が出ず、赤字で苦しんでいる会社は法人税の支払いは免除されています。黒字の会社が法人税を支払っており、法人税の税収が上向くということはそれだけ多くの会社が黒字であり、法人税を支払っているということを意味しています。
しかし、赤字の企業も黒字の企業も行政サービスは受けており、赤字のところだけ支払わなくてもいいというのは不公平ではないかという声が上がりました。赤字の企業も税金を支払うようにすべきだという時に登場したのが「外形標準課税」です。
外形標準課税とは、資本金、人件費や企業としての活動などを基準に課税されるものです。外形標準課税の対象となるのは、資本金が1億円を超える法人であり、中小企業は対象ではありません。ただ、猶予となるケースもあり、所得が数年間存在していない法人や、立ち上げて数年の赤字の法人は原則として3年間、最長で6年間、猶予することができ、延滞金の半分が免除されるようになります。税額は、所得割、付加価値割、資本割の金額の合計で決まり、最終的に支払う額面となります。
所得割は所得に関する法人税を指し、その一部は地方法人特別税という形で納税します。付加価値割は、報酬給与額、純支払利子、純支払賃借料、単年度損益によって決まります。
報酬給与額は給料、ボーナス、各種手当、退職金を合計した金額であり、純支払利子は支払利子から受取利子を差し引いた額、純支払貸借料は支払貸借料から受取貸借料を差し引いた額、単年度損益は税法上の儲けのことであり、繰越欠損金控除前の状態のもので、マイナスであれば収益配分額から欠損金額を控除することになります。
一方、付加価値割には控除が他にもあり、雇用安定控除額というものがあります。収益配分額のうち、報酬給与額が7割以上を占める場合、超過する金額をその分控除することが可能です。こうして出された付加価値割の額面に税率をかけたものが最終的な付加価値割で支払う額となります。資本割は資本金と資本積立金の合計に税率をかけたものが額面となります。これらを合計してはじき出された数字が外形標準課税で支払う税金です。
外形標準課税は、現在のところ大企業を中心としたものになっていますが、法人税の引き下げを検討しており、引き下げと同時に中小企業でも外形標準課税が始まるのではないかと指摘されています。そうなると、法人税の引き下げで税負担が減ると思いきや、外形標準課税で逆に増えることも十分に考えられます。