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孟母三遷の教え(もうぼさんせんのおしえ)
古来より、人は自らの教訓を言葉で残し、古人の知恵や経験を「故事成語・ことわざ」として現代に伝えてきました。
その中から、時を超えて、人生に様々な示唆を与えてくれる「故事成語・ことわざ」を独断と偏見で選んでみました。きっとビジネスだけでなく、人生においても参考になるでしょう。
今回選んだのは、
孟母三遷の教え(もうぼさんせんのおしえ)
という中国 前漢時代に書かれた古書「列女伝」が出典の故事成語です。
「孟母三遷の教え(もうぼさんせんのおしえ)」とは
「孟母三遷の教え(もうぼさんせんのおしえ)」とは、
「子供の教育には環境を選ぶことが大切である」という意味です。
では、出典となった「列女伝」の一節を見てみましょう。
鄒の孟軻の母、其の舎墓に近し。孟子少にして嬉遊するに、墓間の事を為す。孟母曰わく、此れ吾が子を居処する所以に非ず、と。
乃ち去りて、市の傍に舎す。其の嬉戯するや乃ち賈人衒売の事なり。又また曰いわく、此これ吾わが子を居処する所以に非ず、と。
復徙りて学官の旁に舎す。其の嬉戯するや、乃ち俎豆を設け、揖譲進退す。孟母曰わく、真に以って吾が子を居く可し、と。遂に居る。
とあり、現代文に訳すなら、
孟子の家は墓地のすぐ近くにあった。小さかった孟子はいつも葬式ごっこをして遊んでいたので、孟子の母は我が子が住むのにふさわしくないと考えて引っ越した。
引っ越した先は市場の近くだったが、今度は商売ごっこをして遊ぶようになった。そこで、また我が子が住むのにふさわしくないと考えて再び引っ越しをした。
引っ越した先は学校の近くだったが、今度は学生がやっている祭礼の儀式や、礼儀作法の真似をして遊ぶようになったので、孟子の母はここなら我が子を育てるのにふさわしいと言って、腰を落着けることにした。
といった感じになります。
子供だけにかかわらず、育てる環境は非常に大切だと思います。企業においても、社員の育成は大きな課題の一つですが、「孟母三遷の教え」のように、育成に適した環境について、試行錯誤してみることは大事です。