舌先三寸(したさきさんずん)

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舌先三寸(したさきさんずん)

舌先三寸(したさきさんずん)

古来より、人は自らの教訓を言葉で残し、古人の知恵や経験を「故事成語・ことわざ」として現代に伝えてきました。

その中から、時を超えて、人生に様々な示唆を与えてくれる「故事成語・ことわざ」を独断と偏見で選んでみました。きっとビジネスだけでなく、人生においても参考になるでしょう。

今回選んだのは、

舌先三寸(したさきさんずん)

という中国の有名な古書「史記」が出典の故事成語です。

「舌先三寸(したさきさんずん)」とは

「舌先三寸(したさきさんずん)」とは、
「口先だけの巧みな弁舌」「うわべだけのうまい言葉で、相手をあしらうこと」という意味で使われます。

では、出典となった「史記」の一節を見てみましょう。

中国の戦国時代のこと、秦の大軍が趙の都 邯鄲を包囲した時、趙は平原君を使者として強国の楚へ送って同盟を結ぼうとしました。平原君は自ら抱えていた食客の中から有能な人材を20名を選抜しようとしましたが、残り一人となった時、毛遂という人物が自ら手を挙げました。毛遂の能力について半信半疑だった平原君でしたが、楚王との交渉では、毛遂の弁舌によって見事同盟を成功させました。

その毛遂について、平原君が話した言葉が以下の内容です。

今、乃ち毛先生に於いて之を失えるなり。
毛先生、一たび楚に至るや、趙をして九鼎大呂より重からしむ。
毛先生、三寸の舌を以て百萬の師より強し。
勝、敢て復た士を相せず、と。
遂に以て上客と為す。

とあり、現代文に訳すなら、

「毛遂先生のことは人物を身過っていた。
毛遂先生は一たび楚に到着するや、わが趙の国をを九つの宝器よりも重いものにした。
毛遂先生の舌先三寸は、百万人の軍勢よりも優っている。
私は二度と人物の見立てはしない」と平原君は言った。
かくして平原君は、毛遂を食客の上席として扱ったのである。

といった感じになります。

この後、楚から趙へ援軍が派遣され、秦は撤退して首都 邯鄲の落城は免れたのです。

毛遂は、まさに「舌先三寸」で趙を救った訳ですが、現代で「舌先三寸」といえば、誠実さがなく口先だけといった良くないイメージで使われるようになっています。

 

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