「辞世の句」とは、人が死の間際に詠む漢詩・和歌・俳句などのことです。自分の人生を振り返り、この世に最後に残す言葉として、様々な教訓を私たちに与えてくれるといって良いでしょう。
古来より数えきれない辞世の句が残されてきましたが、今回は、小野小町の最後の言葉として、小野小町の辞世の句を紹介してみることにします。
小野小町の最後
小野小町は、平安時代に活躍した女流歌人で六歌仙・三十六歌仙の一人としても知られています。絶世の美女として伝わる小野小町については、生没年や出自を含めて詳しいことは残ってなく謎多き女性で、実在の人物ではないという説もあるくらいですが、実際は、後宮で仕える女性の一人だったようです。
そんな小野小町の辞世の句と言われているのが以下の句(短歌)です。
小野小町 辞世の句
「あはれなり わが身の果てや あさみどり つひには野べの 霞と思へば」
この歌を現代文に訳すなら、
我が身の果ては、荼毘の煙になり、野辺にたなびく霞になってしまうのかと思うと、哀れで儚い
といったところでしょうか。
「花の色は 移りにけりな いたづらに 我が身世にふる ながめせし間に」という歌で百人一首にも選ばれた小野小町ですが、死を前にした時、彼女の頭の中を去来したのはなんだったのでしょう。この小野小町の最後の言葉である辞世の句は、皆さんの心にどう響きましたか?