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思い内にあれば色外に現る
古来より、人は自らの教訓を言葉で残し、古人の知恵や経験を「故事成語・ことわざ」として現代に伝えてきました。
その中から、時を超えて、人生に様々な示唆を与えてくれる「故事成語・ことわざ」を独断と偏見で選んでみました。きっとビジネスだけでなく、人生においても参考になるでしょう。
今回選んだのは、
「思い内にあれば色外に現る」
(おもいうちにあればいろそとにあらわる)
という中国の古書「礼記(らいき)・大学編」が出典の故事成語です。
「思い内にあれば色外に現る」とは
「思い内にあれば色外に現る」とは、
「心の中に思っていることは、自然と表情や言動によって外に現れてしまうものである」という意味です。
ちなみに「礼記・大学編」の中では、「中に誠あらば外にあらわると謂う。故に君子は必ず其の独りを慎むなり」と書かれています。
現代文に訳すと「心の中に誠があれば、それが必ず外面に形となってあらわれる。だから徳のある人は自分一人の場合でも良心に反しないよう慎むのである」といったところでしょうか。
ビジネス上でも、商談の際に物事のメリットばかりをことさら強調し、デメリットには触れようとしないセールスマンがいますが、ある程度の経験値を持った人であれば、話し手の言動などで「なんとなくおかしい」と違和感を感じるわけです。
一方、できるセールスマンは、聞いている人の立場に立ってメリット・デメリットをできるだけ正しく伝え、聞き手が選択できる状況にしてくれます。
悪いところを隠そうとすればするほど不自然になるものです。都合の悪いことを隠そうとすればするほど、そういった意図は言葉や表情、仕草に現れてきますので、都合の悪いことがある場合は、人から見抜かれる前にちゃんと情報提供を行い、信頼を得ることが重要だと思います。