「辞世の句」とは、人が死の間際に詠む漢詩・和歌・俳句などのことです。自分の人生を振り返り、この世に最後に残す言葉として、様々な教訓を私たちに与えてくれるといって良いでしょう。
古来より数えきれない辞世の句が残されてきましたが、今回は、由井正雪の最後の言葉として、由井正雪の辞世の句を紹介してみることにします。
目次
由井正雪の最後
由井正雪は、江戸時代前期の軍学者で、約3000人の門弟を抱えるほどの勢力を持っていました。槍術家の丸橋忠弥とともに、浪人救済を掲げて幕府転覆を図りました(慶安の変または由井正雪の乱)が、挙兵前に事が露見し、1651年9月10日に自刃しました。享年は46歳前後だったと言われています。
そんな由井正雪の辞世の句と言われているのが以下の句(短歌)です。
由井正雪 辞世の句
「秋はただ 馴れし世にさへ もの憂きに 長き門出の 心とどむな 長き門出の 心とどむな」
この歌を現代文に訳すなら、
寂しい季節になる秋は慣れていても物哀しいものだが、長い死出の旅に出るにあたって心は現世に残さないようにしよう。
といったところでしょうか。
死を前にした時、彼の頭の中を去来したのはなんだったのでしょう。この由井正雪の最後の言葉である辞世の句は、皆さんの心にどう響きましたか?