日本人の平均寿命が延び、定年を迎えた後でもまだまだ現役で働ける高齢者が大勢います。
高年齢者雇用安定助成金とは、生涯現役社会を目指すために、事業主に対して高齢者の雇用環境を積極的に促すために作られた国の制度で、高年齢者雇用安定助成金には2種類のコースが用意されています。
1つ目のコースが「高年齢者活用促進コース」というもので、高齢者を積極的に活用する促進措置を行う目的としてお金が支給される内容です。支給金額の上限は1000万円です。
高年齢者活用促進コースの助成金支給金額は、活用促進措置に発生した経費の3分の2をまず基準にし、中小企業以外の事業主の場合には、経費に対して2分の1を用います。健康管理制度を導入している事業主であれば、30万円を経費として計算することができます。また、定年の引き上げや定年の廃止、継続雇用制度を導入済みといった一定条件を満たしていると、100万円の経費で計算が可能です。
これとは別に、60歳以上の雇用保険被保険者で1年以上、活用促進措置の対象者として雇用している労働者の人数を20万円で掛け算します。掛け算で用いる20万円の部分ですが、総務省が定める日本標準産業分類のうち、建設や製造、医療に保育、介護分野の事業主や、その他の条件に当てはまると30万円で掛け算できるようになります。両者の計算結果を比較して、少ない方の金額が助成金の支給金額になる仕組みです。
2つ目のコースが「高年齢者無期雇用転換コース」です。高年齢者無期雇用転換コースでは、50歳以上であり定年の年齢未満の有期契約労働者を無期限雇用に切り替えることで助成金が支給される内容となっています。支給金額は対象となる労働者1人につき50万円で、中小企業以外の雇用主であれば40万円になり、1つの支給申請年度で適用する事業所当たり10人が上限です。
高年齢者無期雇用転換コースでは、無期限雇用に切り替えることを労働協約や就業規則といったものに規定しているなど、5つの条件が存在します。条件に当てはまれば、助成金の対象になります。
どちらのコースを選んだとしても、共通する注意事項がありますので、気を付けましょう。申請の際に高齢・障害・求職者雇用支援機構によって調査が行われたり、事業主に対して書類で報告を求めたりする場合がありますが、該当書類を期日までに提出できないと支給の対象にならない危険があります。
不正受給が発覚すると、機構のサイトに情報が掲載されたり、支給された助成金の返還をしなければならない場合があることを覚えておきましょう。あまりにも悪質なら、刑事事件として告発される可能性もあります。
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