泣いて馬謖を斬る
古来より、人は自らの教訓を言葉で残し、古人の知恵や経験を「故事成語・ことわざ」として現代に伝えてきました。
その中から、時を超えて、人生に様々な示唆を与えてくれる「故事成語・ことわざ」を独断と偏見で選んでみました。きっとビジネスだけでなく、人生においても参考になるでしょう。
今回選んだのは、
泣いて馬謖を斬る
という中国の古書「十八史略」が出典の故事成語です。
「泣いて馬謖を斬る」とは
「泣いて馬謖を斬る」とは、
「大きな目的のために自分の愛する者も犠牲にすること。規律を守るために私情を捨てること。」という意味です。
ちなみに出典となった「十八史略」の一節を見てみると、
亮、政を為すこと私無し。馬謖もとより亮の知る所と為る。軍を敗るに及び、流涕して之を斬り、而して其の後をあわれむ。
となります。ちなみに亮とは有名な軍師 諸葛孔明で、馬謖は孔明が才能を愛した武将のことです。書き下ろし文を現代文に訳してみると、
孔明は私心なく公平に政治を行った。馬謖は以前から孔明の知遇を受けていたが、自軍を敗戦に追いやってしまったことから孔明は泣いて馬謖を斬った。そして遺族を手厚く庇護した。
といった内容になります。
組織運営においては、公正であろうとすると、時に厳格に対処せざるを得ない場合があります。個人的な感情に流されて判断しまうと、規律が守れず、不公平感が出る原因になりますが、厳格で公正なだけでは無機質な感じがして、組織の求心力にはつながりません。
実際の「泣いて馬謖を斬る」の場合を考えてみると、やはり、孔明が部下から敬愛されていたからこそ成り立つ話のように思います。規律を守ることありきで「泣いて馬謖を斬る」ことを行わないように注意したいものです。