健康経営がなぜ必要なのか?
企業が円滑な経営を続けていくためには、社員の存在は欠かせず、社員は私生活が充実し、心身ともに健康であるからこそ、企業が求める仕事に従事することができます。
しかし従来の企業経営では、社員の健康は重要なこととして扱われることはありませんでした。社員の健康は企業経営とは直接関係のないこととされ、心身の健康についてはあくまで社員個々人が自己管理すべきものとして切り離していた経営者も多かったのです。
しかし時代が進むにつれて、職場に定着して働いてくれる社員の存在は貴重なものであると企業側の認識も変化してきています。そして、さらにこれからの少子高齢化社会において人材はますます貴重なものになることが予想され、求職者から選ばれる企業にしたり、高齢者を活用する観点から社員の健康管理が必須となっているのです。
健康経営導入のポイント
健康経営の導入で押さえるべきポイントは、まず第一に社員の健康のために使われる費用は決してコストではないと経営者側が理解することです。健康経営は投資であり、将来的なメリットにつながるということを経営者が理解することが、健康経営のスタートラインです。
そして、健康経営についての明確な理念や方針を決定します。理念や方針が決定したら、次は健康経営を具現化するための体制作りを行います。誰がどんな計画を立て、どんな風に実行するのかを決めていく必要があります。健康についての理解や知識の取り扱いは難しいものですから、専門的な資格を持つ社員を配置することも心がけておきましょう。また、計画をそのまま放り投げるのではなく、道筋を作った上で研修なども行います。体制の管理は全体の管理へと繋がり、計画の頓挫を回避する助けともなるはずです。
社員の健康は社員だけで把握・管理するものではなく、経営者や健康保険組合なども含めて、会社組織一丸となって守るものです。時には産業医の意見を聞きながら、社員の健康状態について把握していきましょう。
社員の健康状態の把握において役立つのは、定期的に行われる健康診断となります。毎年のデータを積み重ねることで、年齢による変化や注意事項、次に必要となる検査なども知ることができます。
一部の中小企業においては健康診断が行われていないという実情があるのも現実ですが、これは企業の資金面での問題や健康経営に対する意識の低さなどから発生している事態であり、本来ならば行わなければならないことです。健康経営の導入をきっかけとして、全社員の定期的な健康診断の実施を確実に行っていく必要があります。
健康診断のデータの蓄積は今すぐではなく、数年後に役立つために行われます。健康に対する意識の高まりは、すぐさま結果が出るものではありません。健康経営で実施する施策は、数年後、十数年後の社員の健康に影響を及ぼすものであり、社員がいかに長期の間、体調を崩さずに働いていけるかにも関わるものです。
健康経営で用いられる一般的なプログラム
健康経営において社員の健康を守る施策として多彩なプログラムがあります。一般的なプログラムとしては、禁煙プログラムや食生活の指導などが挙げられます。これらのプログラムは、健康について一般的な知識しか持っていない人であっても、比較的知名度が高く受け入れられやすいプログラムであると言えます。
また、健康は体だけではなく精神の安定も必要であることが、昨今では広く認知されてきています。いわゆるメンタルヘルス面においても、対象者が躊躇せずに相談できる環境も出来上がりつつありますので、そういった外部のサービスを活用するのも良いでしょう。
心身ともに健康な状態で働いて貰うためには、企業側の継続的な努力が必要となります。現時点からの努力や苦労は、将来的に見ると企業の発展を支えてくれるはずです。社員がいてこそ企業は成り立っています。貴重な社員だからこそ、経営トップが健康経営で押さえるべきポイントを理解することが大切なのです。