五里霧中(ごりむちゅう)
古来より、人は自らの教訓を言葉で残し、古人の知恵や経験を「故事成語・ことわざ」として現代に伝えてきました。
その中から、時を超えて、人生に様々な示唆を与えてくれる「故事成語・ことわざ」を独断と偏見で選んでみました。きっとビジネスだけでなく、人生においても参考になるでしょう。
今回選んだのは、
五里霧中(ごりむちゅう)
という中国の有名な古書「後漢書 張楷伝」が出典の故事成語です。
「五里霧中(ごりむちゅう)」とは
「五里霧中(ごりむちゅう)」とは、
「現在の状態がわからず、どうしていいか迷うこと」を指します。
では、出典となった「後漢書」の一節を見てみましょう。
性、道術を好み、能く五里の霧を作す。時に関西の人裴優も亦た能く三里の霧を為す。自ら以えらく、楷に如かず、と。従いて之に学ばんとす。楷避けて肯えて見ず。
とあり、現代文に訳すなら、
張楷は生まれつき道術を好み、五里四方に霧を発生させることができた。同じ頃、関西の裴優も三里の霧を生ずることができた。裴優は、自分の術は張楷には及ばないと思い、弟子入りして教えを仰ぎたいと思ったが、張楷は避けて面会しようとしなかった。
といった感じになります。
張楷(ちょうかい)は後漢時代の優れた学者ですが、清廉潔白な人柄で、再三の誘いを断って官職につかず、山中に隠居していました。張楷は道術が使え、五里四方(この当時の一里は約4kmですので、20km四方)の霧を作り出すことができたと言われています。