しばしば賞するは苦しむなり
「孫子」は、二千数百年前の弱肉強食の時代に生きた孫武が書いた兵法書です。
その中から、今回は孫子にある「しばしば賞するは苦しむなり(窘しむなり)」という言葉を見てみることにしましょう。
しばしば賞する者は窘しむなり。しばしば罰する者は困るるなり。先きに暴にして後にその衆を畏るる者は不精の至りなり。
が「しばしば賞するは苦しむなり」のくだりですが、現代語訳にすると、
部下に対しやたら賞を与えているのは、その組織が行き詰まっているということだ。逆に、やたら罰を与えているのも、行き詰まっている証拠である。また、部下を乱暴にこき使い、後から部下のご機嫌を取るのは、自らの不明をさらけ出しているようなものだ。
という意味になります。
個人的な話になりますが、20人ほどの規模の営業会社の管理部門で働いたことがあり、その会社がまさに「しばしば賞するは苦しむなり」の状態でした。オーナーが賞金と解雇という飴と鞭によって成果を上げようという考えで、常に採用と解雇を繰り返していました。
やはり、その会社では、オーナーとそれ以外といった感じで、組織としては行き詰まっており、会社の人員規模は徐々に縮小し、つれて事業規模も縮小していきました。
信賞必罰は組織運営に必要だと思いますが、賞や賞金などを乱発することで成果向上を期待しても、思うような効果は出ません。成果を上げるためには「人を動かす」必要があり、太平洋戦争時の連合艦隊司令長官であった山本五十六の言葉「やってみせて、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かず」のように、部下を育てることこそ、成功への近道ではないでしょうか?
あなたの会社は「しばしば賞するは苦しむなり」の状態になっていませんか?