私は仕事柄多くの企業を訪問します。当社のメインのお客様は中小企業、どちらかといえば社員数が50名前後の小規模企業が多いので、訪問先も比較的規模が小さな会社中心となります。ということで、今回は、社員数50名前後の小さな会社で起こりがちな問題について触れてみましょう。
規模が小さな会社は、少人数を生かして経営者と従業員間のコミュニケーションがよく取れている、もしくは経営者がトップダウンで社員を引っ張っていくようなイメージを持ちがちですが、実際はイメージとは異なり、事業部だらけ管理職だらけでセクショナリズムがはびこった企業も多いように見えます。
具体的には、
- 支店がないにもかかわらず、事務所のスペースの関係で複数の事務所に分かれて業務をしている
- ターゲット毎に事業部が乱立している
- 社員4〜5名に一人の割合で課長がいる
- よく似た仕事をしているにも限らず、お互いに横の組織(課・部・事業部)が何をしているか知らない(知ろうともしていない)
- 結果、他部署に無関心なセクショナリズムが目立ち、仕事が縦割りになってしまっている
- それぞれの組織がどういった動きをしているか、経営者が見切れていない
ようなことが、目立つ会社がいくつもあります。トップダウンでもなければ、ボトムアップでもない、それぞれの部署が個々に仕事をしている状態です。
事業部の長や管理職が多い状態でも、創業当初から在籍する社員を中心に回っている会社はまだ良いのですが、急成長している会社のように業務拡大に合わせて中途採用社員がほとんどの会社では、目の前の個別の業務はできていても、将来を見据えた一貫性のある仕事はほとんどできていないように感じます。
さらに口うるさい経営者がそこにいたりすると最悪の状態です。様々なセクションが口うるさい経営者に引っ掻き回され、管理職も担当者も、なぜこの仕事をしなければならないのかがわからないまま、脈絡のなく次々と来る仕事に疲れてしまいます。結果として、退職率は高く人の入れ替わりが激しくなり、経営者の空回りと管理職・担当者の疲弊はさらに大きくなる「負の連鎖」が続いていきます。
こういう会社は、従業員の方と話をしていると雰囲気で「この会社はうまく仕事が回っていないな」ということが大体わかります。おそらく当該の会社の取引先であるお客様にも伝わっていくでしょう。そして、そのことは会社の今後の成長に大きな影を落とすと思います。
御社では、事業部だらけ管理職だらけになっていませんか?セクショナリズムが蔓延していて仕事が縦割りになっていませんか?
もし、御社が50名前後の規模でしたら、一度会社の状況を振り返ってみることをお勧めします。