智者の慮は必ず利害に雑う
「孫子」は、二千数百年前の弱肉強食の時代に生きた孫武が書いた兵法書です。
その中から、今回は孫子にある「智者の慮は必ず利害に雑う」という言葉を見てみることにしましょう。
この故に、智者の慮は必ず利害に雑う(まじう)。利に雑りて而ち務め信ずべきなり。害に雑りて而ち患い解くべきなり。
が「智者の慮は必ず利害に雑う」のくだりですが、現代語訳にすると、
このため、智者は、必ず利害の両側面について考える。メリットを考える時にはデメリットになる側面も一緒に考えるので、物事は順調に進む。デメリットになることを考える時にもメリットになる側面を一緒に考えるので、無用な心配をしないで済む。
という意味になります。
智者は判断を誤らない人のことです。「智者の慮は必ず利害に雑う」という言葉で、孫子は、メリットとデメリットを同時に考えることのできる人が判断を誤らない人だと説いています。
一見すると簡単なことのように思いますが、利益になりそうなことを目の前にすると、デメリットが見えなくなったり、デメリットを都合良く過小評価してしまいがちです。また、自分にとって悪そうなことを目の前にすると、逆のメリットを見落として、落胆してしまったりします。
ピンチとチャンスの状況は非常によく似ていますので、ただ一方から物事を見るのではなく、両面から物事を見るようにすることで選択肢は広がるはずです。
現代のビジネスにおいても、常に物事のメリットとデメリットを同時に考える癖をつけていくと、いざという時に適切な判断ができるようになるでしょう。
「智者の慮は必ず利害に雑う」という言葉をあなたは日頃から意識していますか?